スーパー・マイクロ・コンピュータ(SMCI)の株価が再び注目を集めています。ここ数ヶ月間で株価は大幅な下落が続いており、特に今週、会計事務所の辞任が公表されたことで、株価はさらに大幅に下落しました。本記事では、スーパーマイクロの株価急落の背景と今後の見通しについて解説します。
スーパーマイクロの株価動向
スーパーマイクロの株価は、3月13日に過去最高値の118.81ドルを記録しましたが、それ以来、下落が続いています。直近では、株価が昨年12月29日以来の安値となる27.65ドルに達し、年初来で赤字に転じました。
8月7日:利益率悪化による株価下落
8月7日、スーパーマイクロは2025年度の好調な売上予測を発表しましたが、利益率の悪化が市場に不安を呼び、翌日には株価が20%下落しました。この下落は序章に過ぎず、その後さらなる問題が浮上しました。
ヒンデンブルグ・リサーチの報告書発表
8月後半、空売り専門の投資会社ヒンデンブルグ・リサーチがスーパーマイクロコンピュータに関する報告書を発表しました。同社は、「会計上の重大な問題、未開示の関連当事者取引、制裁措置、輸出管理の不履行、顧客問題」など複数のリスクを指摘。この報告書により、投資家の間で不信感が高まりました。
10-K提出の遅延と株価への影響
8月28日には、スーパーマイクロが6月30日締めの会計年度の10-K(年次報告書)の提出を遅らせると発表し、これを受けて株価は19%下落しました。投資家の間では、10-Kの提出遅延が財務状況の透明性を欠く兆候と受け取られ、懸念が一層高まりました。
CEOの反論と司法省の捜査報道
9月には、CEOのチャールズ・リャン氏がヒンデンブルグ・リサーチの報告書に対し、「当社に関する虚偽または不正確な記述が含まれている」と反論しました。しかし、同月後半にウォール・ストリート・ジャーナルが同社が司法省の捜査を受けていると報道したことで、株価への影響は続きました。
会計事務所アーンスト・アンド・ヤングの辞任
10月後半、スーパーマイクロの会計事務所であったアーンスト・アンド・ヤングが「経営陣が作成した財務諸表に関連付けられることを望まない」として辞任しました。この発表により、株価は10月30日に33%急落し、その後、31日にはさらに12%下落しました。スーパーマイクロはこの決定に不同意を表明し、新たな監査法人を求めています。
強気派の見解と今後の展望
こうした問題にもかかわらず、スーパーマイクロをカバーするアナリストのうち41%が同社株を「買い」と評価しています(ファクトセット調査)。6月時点の74%からは減少しているものの、依然として強気な見解を持つ専門家がいる点は注目です。今後、同社が信頼を取り戻し、成長軌道に戻れるかが注目されます。
投資家へのアドバイス
現在、スーパーマイクロコは財務・ガバナンス問題を抱えており、投資家にとってリスクが高い状況です。特に、会計監査法人の辞任や司法省の捜査報道は投資判断において重要なリスク要因となるため、注意が必要です。ただし、長期的な成長ポテンシャルを見込む強気派の見解も存在するため、今後の業績動向を慎重に見守りながら、冷静な投資判断が求められます。
まとめ
スーパーマイクロは、ここ数ヶ月で多くの困難に直面しており、特に会計問題やガバナンスの不透明さが株価に大きな影響を与えています。短期的なリスクは依然として高いものの、長期的な成長の可能性を評価する投資家も存在するため、引き続き注視が必要です。
*過去記事はこちら スーパー・マイクロ・コンピュータ SMCI