インテル(INTC)は、12月期の業績見通しを上方修正し、株価が急上昇しています。また、米経済誌『バロンズ』の取材で、CEOのパット・ゲルシンガー氏がAI関連事業や米政府のチップ法支援に対する不満を述べたことも注目されています。本記事では、インテルの業績見通し、AIチップの売上見通しの下方修正、政府からの支援遅延について詳しく解説します。
インテルの12月期見通しが市場予想を上回る
10月31日に発表した第3四半期決算では、インテルの調整後1株当たり利益(EPS)は46セントの損失となりましたが、これは減損費用の影響を受けた結果です。この費用を除けば、インテルのEPSは市場予想と比較が難しいものの、売上高は133億ドルとなり、市場予想の130.2億ドルを上回りました。
インテルは今四半期の売上予測を133億ドル〜143億ドルのレンジで発表し、アナリストの予想136.6億ドルも上回る堅調なガイダンスを示しました。また、12月期の調整後EPSも8セントと予測し、収益性の回復に自信を示しています。これらを受けて、インテルの株価はアフターマーケットで一時12%急騰し、市場からの注目を集めています。
Gaudi AIアクセラレーターの売上見通し下方修正
一方で、インテルのAIチップ事業に対する懸念も浮上しています。インテルは以前、2024年下半期にAIアクセラレータの売上が5億ドルを超えると発表していましたが、今回の取材でゲルシンガー氏はこの目標は「達成が難しい」と述べました。Gaudi AIアクセラレーターへの顧客の関心は高いものの、売上予測の達成は困難であると説明しています。
しかし、ゲルシンガー氏は18Aチップ製造プロセスに関して新たに2つの顧客を獲得したことも明らかにし、AIチップやプロセッサ製品群に対する需要が堅調であることを強調しました。
米政府のチップ法支援遅延に対する不満
インテルの成長戦略において、米政府からの資金援助は重要です。チップ・アンド・サイエンス法(通称「チップ法」)に基づき、米政府は半導体産業への85億ドルの支援を提案していますが、インテルはまだこの資金を受け取っていません。ゲルシンガー氏は「進展が遅々として進まないことに苛立ちを感じている」と述べ、米国内での製造拠点構築に300億ドルを投じている中での支援遅延に対する失望感を表明しました。
まとめ:インテル株価上昇の背景と今後の見通し
インテルは12月期の堅調な見通しを示し、AIチップ事業の売上見通しを下方修正しつつも、ファウンドリ事業の顧客基盤を拡大しています。長期的な成長戦略として、x86フランチャイズや次世代Panther Lakeプロセッサの開発に注力しており、市場からの信頼を取り戻しつつあります。
株価が12%上昇したことは投資家の期待を反映していますが、今後も米政府からの資金支援の進展やAI関連製品の売上動向が注目ポイントです。インテルのAI市場でのシェア拡大やファウンドリ事業の強化に向けた取り組み、そして米国内製造強化への期待が高まっており、今後の動向に注目が集まります。
*過去記事「インテル、アルテラ株売却で再浮上?— 170億ドル規模の事業再編」