アルファベットの最新決算を徹底解説:AI・クラウドがもたらす売上拡大

グーグルの親会社であるアルファベット(GOOGL)は最新の決算報告で、人工知能(AI)とクラウドコンピューティング事業の成長が売上増に寄与していることを明らかにしました。同社は検索事業の利用拡大に加え、クラウド部門の好調な成長を報告し、ウォール街の懸念を払拭しています。

収益と利益で予想を上回る成長を記録

アルファベットの第3四半期の売上は、パートナーへの支払いを除き、前年同期比16%増の746億ドルに達しました。この数値はアナリストの平均予測である729億ドルを上回り、AI分野での積極的な投資が着実に成果を上げていることを示しています。また、純利益も1株当たり2.12ドルを記録し、予測の1株当たり1.84ドルを超えました。

クラウド事業が成長の柱に

グーグルのクラウド部門は、企業向けにコンピューティングパワーやサービスを提供し、前年同期比で35%増の114億ドルに到達しました。Global X ETFsの調査アナリスト、イド・カスピー氏は「企業のAI活用が進む中、クラウドの売上の拡大が見込まれる」と述べ、グーグルが競合のアマゾンやマイクロソフトに対抗し得る立場にあることを示唆しています。

クラウド事業の拡大は、グーグルのAIソリューションによって促進されています。同社のCEOであるスンダー・ピチャイ氏は、「AI技術が既存顧客の製品採用と新規顧客の獲得に貢献している」と語り、クラウド分野でのAIの有用性を強調しました。

コスト削減とAI技術の向上

ピチャイ氏は、AIによる回答生成のコストが18か月で90%以上削減されたことを明らかにしました。また、AIモデル「ジェミニ」の規模を2倍に拡大し、クラウド事業と検索事業の両方でのAI活用を強化しています。これにより、将来的な負荷に対応するための基盤が確立されつつあります。

クリーンエネルギーとAIによる業務効率の向上

グーグルは、AI分野での成長を支えるため、新エネルギー源にも投資しています。ピチャイ氏は、将来的なエネルギー需要に対応するため原子力などの持続可能なエネルギー源への投資を進めていると述べました。また、アルファベットの新しいコンピューターコードの4分の1以上がAIによって生成されており、効率的な業務遂行が可能になっています。

「Other Bets」部門の挑戦と成果

アルファベットの「Other Bets」部門には、自動運転車のウェイモや生命科学のベリリーなどが含まれます。売上高は前年同期の2億9700万ドルから3億8800万ドルに増加しました。ウェイモは自動運転車の展開を加速させ、サンフランシスコやフェニックスでのサービス拡大を図っています。同社は56億ドルの資金調達を行い、さらなる成長への基盤を固めましたが、「Other Bets」部門は依然として11億ドルの損失を計上しており、Ruth Porat氏のリーダーシップのもと、収益改善が期待されています。

独占禁止法による規制の影響と今後の見通し

AI業界での存在感を増す一方、グーグルは米国政府から独占禁止法違反で訴訟を受けており、検索やデジタル広告事業が注視されています。ピチャイ氏は、米国政府による訴訟がテクノロジー分野に予期しない影響を及ぼす可能性についても言及しました。

同社の新CFOであるアナト・アシュケナージ氏も、2025年には資本支出が大幅に増加する見通しであると述べ、AIおよびクラウド事業のさらなる発展に向けた投資が続く見込みです。

まとめ:グーグルのAIとクラウド事業が売上成長を牽引

アルファベットは、AIとクラウド事業の拡大を通じて健全な売上成長を実現し、投資家の信頼を取り戻しています。検索事業の成熟が進む中、クラウドやAI関連の新たな事業分野が同社の成長エンジンとして機能しています。今後もクラウド市場での競争が激化する中で、グーグルの動向に注目が集まっています。

*過去記事 アルファベット GOOGL

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