米電気自動車(EV)メーカー、テスラ(TSLA)は10月23日の取引終了後に2024年第3四半期の業績を発表し、予想を上回る結果となりました。この発表を受けて、投資家はテスラの粗利益率の改善や将来の低価格EV生産計画を歓迎し、時間外取引ではテスラ株が急騰しました。CEOのイーロン・マスク氏は、来年の販売台数が20〜30%増加する可能性があると楽観的な見通しを示しています。
予想を上回る売上高と調整後EPS
テスラの第3四半期の売上高は251.8億ドルとなり、ブルームバーグの予想である254億ドルをわずかに下回ったものの、第2四半期の250.5億ドルや前年同期の234億ドルを上回る結果となりました。また、調整後EPSは0.72ドルで、予想の0.60ドルを大きく上回り、収益性の改善が明らかになりました。
さらに、同四半期の調整後純利益は25億ドル、フリーキャッシュフローは29億ドルと、いずれも堅調な数字を示しています。
粗利益率の向上と今後の成長に期待
注目された粗利益率は、19.8%と市場の予想である16.8%を大幅に上回りました。特に、テスラは第3四半期においてサイバートラックの生産が順調に進み、初めてプラスの粗利益率を達成したと報告しました。このことは、テスラが今後さらに収益性を高める可能性を示唆しています。
時間外取引でテスラの株価は約11%急騰しました。これは、投資家がテスラの成長戦略やEV市場における競争優位性を高く評価している証拠です。
EV納車台数は増加、今後の展望も明るい
テスラは、第3四半期に46万2890台のEVを納車し、前期比で6.4%の増加を記録しました。この数字は前年同期の43万5059台を上回り、テスラにとって今年初の納車台数増加となりました。市場予想の46万3897台にはわずかに届かなかったものの、納車台数の増加はテスラの成長が継続していることを示しています。
イーロン・マスク氏は、来年のEV納車台数は20〜30%の増加が見込まれるとし、これはEV市場におけるテスラのさらなる拡大を期待させる発言となりました。特に、より低価格なEVの投入がテスラの成長を加速させる鍵となりそうです。
サイバーキャブ・ロボットタクシーの発表と市場の反応
10月10日にカリフォルニア州で開催された「We, Robot」イベントでは、テスラは新たな自動運転技術を搭載したロボットタクシー「サイバーキャブ」を発表しました。しかし、多くのアナリストや投資家は、この発表が詳細に欠けるとして、株価はイベント後に約11%下落しました。バーンスタインのアナリスト、トニー・サコナギ氏も「期待外れ」と評しています。
それでも、低価格EVである「モデル2」や、サイバーキャブの開発が今後の成長の推進力になると期待されています。特に、3万ドル未満のEVが発売されれば、テスラはEV市場においてさらなるシェア拡大を果たすことが期待できます。
エネルギー事業の成長も顕著
テスラはEV事業に加え、エネルギー生成および蓄電事業でも飛躍を遂げています。第3四半期には粗利益率が30.5%に達し、こちらも記録的な数字となりました。さらに、2024年にはエネルギー事業が前年比で2倍以上の成長を見込んでいると発表しています。
まとめ
テスラは、第3四半期において売上高、粗利益率、納車台数のすべてで予想を上回る結果を出しました。特に、粗利益率の改善と低価格EVの生産計画が投資家の期待を集めています。サイバートラックやサイバーキャブなど、新型車の生産が今後さらに進展すれば、テスラの成長は一層加速しそうです。
テスラは引き続きEV市場のリーダーとして進化を続けており、2025年に向けてさらなる成長が期待されます。投資家にとって、テスラ株は引き続き注目すべき銘柄です。
*過去記事はこちら テスラ TSLA