テキサス・インスツルメンツ、売上予測が市場予想を下回る中でも株価上昇!今後の展望は?

  • 2024年10月23日
  • 2024年10月23日
  • BS余話

テキサス・インスツルメンツ(TXN)は10月22日、12月期の売上予測を発表しましたが、市場予想を下回る結果となりました。これを受けて、同社の株価は一時2%下落しましたが、その後の時間外取引で3%の上昇を見せました。市場では、投資家がすでにやや弱気な見通しを織り込んでいたことが影響したと見られます。

9月期の好決算、利益・売上が予想を上回る

ファクトセットによると、テキサス・インスツルメンツの9月期の1株当たり利益は1.47ドルとなり、ウォール街の予想である1.38ドルを上回る好結果となりました。売上高も41.5億ドルを記録し、アナリスト予想の41.2億ドルをわずかに上回りました。この結果は、同社が依然として堅調なパフォーマンスを維持していることを示しています。

12月期の売上予測は予想を下回る

しかし、テキサス・インスツルメンツは12月期の売上予測を37億ドル〜40億ドルの範囲と発表し、これは市場のコンセンサス予想である40億6000万ドルを下回る数値でした。市場全体の需要減速が影響していると考えられます。

テキサス・インスツルメンツのCEOであるハヴィブ・イラン氏は、「売上は前年同期比で8%減、前期比で9%増となった。産業部門は依然として前期比で減少したが、その他のすべての最終市場は成長した」と述べ、特定の分野では依然として厳しい状況にあることを認めました。

中国市場は堅調も、アジア以外の自動車部門に弱さ

同社の投資家およびアナリスト向けの電話会議では、経営陣は中国の電気自動車市場が強さを維持していることを指摘しましたが、アジア以外の自動車部門における弱さを警告しました。さらに、現在の半導体市場の不況が終息する兆しはまだ見えていないとの見解も示されています。

テキサス・インスツルメンツは、自動車や産業用機器、家電製品など、幅広い分野で使用される半導体チップを供給しており、顧客数は10万を超えます。こうした基盤の広さが、厳しい市場環境の中でも一定の強さを発揮している要因の一つです。

チップ需要の先行きに厳しさ

一方で、キーバンク・キャピタル・マーケッツのアナリストであるジョン・ヴィン氏は、テキサス・インスツルメンツの主力市場である自動車および産業用チップの需要は引き続き厳しい状況にあると指摘しています。同氏は、「幅広い分野での需要動向は依然として低迷が続くと予想される」と警告しています。

半導体セクター全体でのパフォーマンス

テキサス・インスツルメンツの株価は今年に入って14%の上昇を見せていますが、同時期にiシェアーズ半導体ETF(SOXX)は19%上昇しており、半導体セクター全体では同社を上回るパフォーマンスを記録しています。テキサス・インスツルメンツは、9月期の決算を最初に報告した大手半導体企業であり、同社の業績は今後の半導体市場全体のトレンドを示す重要な指標となっています。

まとめ

テキサス・インスツルメンツは、9月期の好決算を発表したものの、今後の売上予測は市場の期待を下回りました。しかし、依然として堅調な業績を維持しており、中国市場での強さや幅広い顧客基盤が支えとなっています。今後も半導体市場の動向には注視が必要ですが、同社の戦略と市場への対応力は引き続き注目されそうです。

*過去記事「テキサス・インスツルメンツ:堅調な売上見通しと地政学的優位性

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