エヌビディア(NVDA)のCEO、ジェンスン・フアン氏が、AIの未来と同社のビジョンについて語る場として、アーム(ARM)のCEOであるレネ・ハース氏との対談に参加しました。この対談は、アームが新たに開始したポッドキャスト「Tech Unheard」の初回エピソード(10月9日から公開)で行われ、二人の親しい関係性やエヌビディアの戦略について興味深い内容が明らかになりました。
GPUを超えたコンピュータ設計への挑戦
フアン氏は、エヌビディアがGPUだけにとどまらず、コンピュータシステム全体を設計することで、AI技術のパフォーマンスをさらに高めることに取り組んでいると説明しました。具体的には、ネットワーキングやスイッチ、ソフトウェア、その他のチップまで含めた総合的な設計により、エネルギーやコストを追加することなく性能を向上させることを目指しています。
同氏はまた、AIチャットボットが将来的にさらに優れた推論能力を持つようになり、より質の高い回答を提供できるようになるとも語っています。これにより、AIが「推論」プロセスを通じて、数千もの計算を行った後に結論を出すため、回答の精度が格段に向上するとのことです。
ソフトウェアの互換性が未来を切り開く
フアン氏は今回の対談の中で、特にソフトウェアの重要性を強調しました。エヌビディアのGPUアーキテクチャは、過去の技術とも互換性があり、現在開発されているソフトウェアが将来のハードウェアでも動作することが保証されています。
同氏は、「昨日のクラスタ用に開発されたソフトウェア(Hopper)は、BlackwellやRubin(エヌビディアの将来のGPUアーキテクチャ)でも動作します」と述べ、ソフトウェアの互換性が業界全体にとっていかに重要であるかを強調しました。
ソフトウェアが一度生産環境に導入されると、そのソフトウェアは企業内で長期間にわたって使用され続けることが一般的です。エヌビディアのCUDAエコシステムの強みは、すでに数億台に及ぶエヌビディアのGPUインストールベース上で、新しいソフトウェアが動作できることにあります。この強力なエコシステムは、エヌビディアがハードウェアと同様にソフトウェアでも優位性を持っていることを示しています。
ハードウェア企業としてのイメージを超えて
エヌビディアは、これまでハードウェアメーカーとしての評判が強調されることが多かったですが、実際にはその成功の背後に強力なソフトウェア開発の力があるとフアン氏は指摘しています。同氏によれば、エヌビディアのエンジニアの半数以上がソフトウェアの開発に従事しており、この事実は多くの投資家にとって驚きかもしれません。
今回の対談を通じて明らかになったのは、エヌビディアがAI分野において、ハードウェアとソフトウェアの両方で覇権を握るポジションにあるということです。フアン氏は、ソフトウェアの進化がエヌビディアのハードウェアの未来を一層明るいものにするという強い信念を持っています。
まとめ
ジェンスン・フアン氏の言葉からは、エヌビディアがAI技術のリーダーであり続けるための戦略的な方向性が明確に見て取れます。AIの性能向上だけでなく、ソフトウェアの互換性と進化が、今後のエヌビディアの成長を支える重要な要素になると同氏は信じています。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA