ジェフリーズのアナリスト、エジソン・リー氏が10月7日、アップル（APPL）を「買い」から「ホールド」に格下げしたことが注目されています。この決定の背景には、アップルが推進する人工知能（AI）技術とその影響に対する市場の過度な期待があるとされています。リー氏の分析によれば、iPhoneの売り上げに対するAIの短期的な影響は限られており、市場の期待に応えるには時間がかかる可能性が高いと予想されます。
アップルのAI導入と市場の反応
アップルは、AIブランド「Apple Intelligence」を今月から展開しています。しかし、リー氏はこのAI技術がスマートフォンの売り上げを直ちに押し上げることは難しいと指摘しています。同氏の調査メモによると、「目立った新機能の欠如とAIの適用範囲の限界」が主な課題とされています。そのため、現在市場が期待している5~10%の台数成長は達成されない可能性が高いとされています。
この分析の結果、リー氏はアップルの格付けを「買い」から「ホールド」に格下げしました。しかし、同時に目標株価は205ドルから212.92ドルに引き上げられており、アップルの長期的な成長ポテンシャルには一定の評価が与えられています。
iPhone 16と消費者動向
iPhone 16の注文リードタイムが短縮されていることから、一部のアナリストは、アップルが消費支出の低迷と競争の激化に直面していると指摘しています。これにより、iPhoneのアップグレードサイクルは比較的緩やかなスタートを切る見込みです。これもまた、短期的な売り上げに対する期待を抑える要因となっています。
長期的な成長見通しとAIの影響
リー氏は、アップルが将来的にAIを大きな販売促進要因にする可能性があるとしつつも、短期的には期待を下回る結果になると予測しています。特に、AI技術がスマートフォンのセールスに大きく寄与するには、2026年以降の可能性が高いと指摘しています。また、同氏はアップルがAI関連サービスに対して月額5ドルの料金を設定することを予測しており、これが長期的には売上の成長を押し上げる要因になると見ています。
しかし、現在の株価収益率（PER）は過去最高水準に近いため、アップル株の短期的な上昇余地は限定的であるとされています。これは、投資家が短期的な期待に基づいて過度にリスクを取ることを避けるべきであるというメッセージでもあります。
投資家への示唆
今回のアップル株の格下げは、投資家にとって重要な警鐘です。短期的な売り上げへの過剰な期待は、株価の上昇を妨げる要因となり得ます。しかし、長期的にはAI導入がアップルのビジネスモデルに大きな変革をもたらす可能性もあり、慎重な投資判断が求められます。
アップルは引き続き技術革新を進めていますが、その影響が顕在化するには時間がかかる可能性が高いと思われます。今後の展開に注視しつつ、短期的なボラティリティに耐えることができるかどうかが、アップル株への投資成功の鍵となりそうです。
＊過去記事はこちら アップル AAPL