アマゾン・ドット・コム(AMZN)の株価が10月7日午前の米国市場で下落しました。今回の下落は、業界アナリストによる格下げが主な原因であり、来年に向けたマージンの動向に対する懸念が指摘されています。クラウドコンピューティング事業の成長だけでは、そのマージン低下を補うことは難しいとの見方が強まっています。
ウェルズ・ファーゴ証券による格下げと目標株価の引き下げ
ウェルズ・ファーゴ証券のアナリスト、ケン・ガウレルスキー氏は、アマゾンの格付けを「オーバーウェイト」から「イコールウェイト」へ格下げしました。同氏は、アマゾンをカバーしているアナリストの中で、「買い」推奨をしていない数少ないアナリストの一人となりました。また、同氏はアマゾンの目標株価を225ドルから183ドルに引き下げました。これは、アナリストの中でも最も低い水準の一つです。
株価は2.6%下落、それでも年初来では20%の上昇
7日午前11時過ぎの取引でアマゾンの株価は2.6%下落し、181.6ドルとなりました。しかし、2024年の初めから現在まで、同社の株価は20%あまり上昇しており、ナスダック100指数の19%の上昇を幾分上回るパフォーマンスを示しています。
近い将来、マージン拡大は制限される可能性
ガウレルスキー氏は、「アマゾンは一貫してポジティブな業績修正の話題を提供してきたが、短期的には業績修正を圧迫する要因があると我々は考えている。市場は第4四半期の営業利益への圧力に対してより備えができているが、利益率の拡大は2025年前半にも頭打ちになる可能性があると我々は警告している」と述べています。
さらに、同氏は「2025年7月の見通しが発表されるまで、ポジティブな業績予測の再開は限定的だ」としており、Amazon Web Services(AWS)事業の強さだけでは、今の課題を補いきれないと指摘しています。
ウォール街で最も好まれる銘柄の一つ
アマゾンはウォール街で最も支持されている銘柄の一つであり、約94%のアナリストが「買い相当」の評価をしています。売り推奨しているアナリストは一人もおらず、平均目標株価は約219ドルで、今後12ヶ月間で約18%の上昇が期待されています。
AWS事業の長期的な成長とAI投資に関する懸念
この広範な楽観論の多くは、AWS事業によるものであり、特に人工知能(AI)に関連した長期的な需要の追い風が期待されています。しかし、短期的にはAI関連の投資にどれだけのコストがかかるかについて懸念が残っています。
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