エヌビディア株が下落!中国政府のチップ自立政策が波及するリスク

エヌビディア(NVDA)の株価は、中国政府が自国の半導体業界を強化する新たな取り組みを進めているとの報道を受け、9月30日朝の米国市場で下落しました。この動きは、米国による制裁に対抗するものと見られており、エヌビディアにとって重要な市場である中国が影響を受ける可能性が高まっています。

エヌビディア株は一時1.7%下落し、119.35ドルとなりました。前週金曜の27日には2.1%の下落を記録しており、2営業日連続の下落となっています。

中国、エヌビディアのチップを避ける動き

ブルームバーグの報道によると、中国政府は国内企業に対し、エヌビディアのチップを購入するのではなく、国内で生産された人工知能(AI)チップを使用するよう促しています。この指針は全面的な禁止ではなく、具体的な推奨という形をとっています。報道によれば、中国政府は、米国との貿易摩擦がこれ以上拡大することを望んでいないため、慎重な対応を選択しているとされています。

中国市場はエヌビディアにとって重要です。2024年度上半期の報告によると、エヌビディアの総売上高の11%に相当する62億ドルが、中国および香港市場からの売上となっています。このため、中国の動向がエヌビディアの業績に大きく影響を与えることが予想されます。

中国国内の半導体メーカーが成長

一方、中国政府はカンブリコン・テクノロジーズ(中科寒武紀科技股分有限公司)やファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)など、国内のチップメーカーを推進しています。このニュースを受け、30日に中国の半導体セクターは大きく上昇し、カンブリコンの株価は20%急騰しました。

さらに、ロイター通信は、TikTokの親会社であるバイトダンスが、ファーウェイのチップで訓練したAIモデルの開発を計画していると報じました。これは、米国当局が国家安全保障上の懸念からソーシャルメディア企業を監視している中での重要な動きです。

エヌビディア株価の推移と今後の展望

エヌビディアの株価は、今年に入ってから約145%上昇しています。これは、同社のAIチップに対する高い需要によるものです。64人のアナリストのうち、94%がエヌビディア株を「買い」または「オーバーウェイト」と評価していることからも、同社の成長期待が伺えます。

一方で、米国の制裁強化や中国の半導体自立に向けた動きが、エヌビディアの中国市場に影響を与えるリスクが存在します。特に、バイデン政権が発表した高度なAIチップの輸出規制が、エヌビディアの供給と需要にどのような影響を与えるかが今後の焦点となります。

米国半導体市場への影響

エヌビディアだけでなく、米国の他の主要な半導体関連企業も影響を受けています。iシェアーズ半導体ETF (SOXX) は、30日の朝の取引で1.2%下落し、ブロードコム(AVGO)とアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMDもそれぞれ約0.9%の下落を記録しました。

中国市場の重要性が高まる中で、米中貿易摩擦の影響は長期的にエヌビディアおよび半導体業界全体に波及する可能性があります。企業は、規制や市場の動向に応じた柔軟な対応が求められています。

まとめ

エヌビディア株の今後の動向を注視する必要がありますが、現在の市場環境では、中国政府の政策変更や米国による規制強化が企業の売上に与える影響が大きくなっています。特にエヌビディアのようなグローバル企業にとって、中国市場での競争力を維持するための戦略が鍵となります。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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