近年、米国のテクノロジー業界における大手企業に対する規制が厳しくなりつつあり、特にアルファベット（GOOGL）はその影響を大きく受けています。オッペンハイマーのアナリスト、ジェイソン・ヘルフスタイン氏は、最近の独占禁止法に関する判決がアルファベット株の成長を抑える可能性があると指摘しています。このブログ記事では、投資家が知っておくべき重要なポイントについて解説します。
独占禁止法の判決とその影響
2024年8月、裁判所はGoogleが一般検索サービスと一般テキスト広告において「独占的地位を維持している」との判断を下しました。これにより、投資家の間では同社のビジネスモデルが今後どうなるのか、大きな不安が広がっています。特に注目すべきは、Googleがアップル（AAPL）との間で結んでいる独占契約の将来です。
Googleは、アップルに対して検索広告収入の一部を支払い、その見返りとしてSafariのデフォルト検索エンジンとして採用されています。この契約により、Googleはアップルのデバイスを通じて総検索売上の約31%を生み出し、36%をアップルに支払っています。このような独占的契約が崩れることで、アルファベットのビジネスにどのような影響を与えるかは今後の注目ポイントです。
AI競争の激化とGoogle検索の未来
さらに、生成AIの進化もアルファベットにとって新たな脅威です。OpenAIやメタ・プラットフォームズ（META）といった企業がAI技術を駆使した検索機能を開発しており、Googleが過去20年にわたって築いてきた検索市場の独占が崩れる可能性があります。
この新たな競争環境において、Googleの検索サービスがどのように進化し、競争に打ち勝つかがカギとなりそうです。
投資家の反応と市場予測
ジェイソン・ヘルフスタイン氏は、こうした不確実性を考慮し、アルファベットの目標株価を210ドルから185ドルに引き下げました。これは市場予想の202.68ドルを下回る水準です。それでもなお、同氏はアルファベット株の「アウトパフォーム」評価を維持しており、長期的には成長の可能性があると見ています。
オッペンハイマーが約1,000人を対象に行った調査によると、iPhoneユーザーの75%が、デフォルトの検索エンジンを自分で選ぶ場合でもGoogleを選ぶと回答しています。また、78%のユーザーが、アップルがデフォルト検索エンジンを変更したとしても、Google検索を行うためにChromeをダウンロードすると答えています。
これらのデータは、たとえアップルとの独占契約がなくなったとしても、Googleの検索サービスが依然として消費者に支持される可能性が高いことを示唆しています。
検索広告の将来
「検索広告は、依然として最も効果的な広告媒体である」とヘルフスタイン氏は述べており、クリック課金型広告モデルの強みが今後も続くとしています。アルファベットは米国で70%の市場シェアを誇るリーダー企業であり、検索広告ビジネスの中心的な存在であり続けると予想されます。
まとめ
現在、アルファベットは独占禁止法のリスクとAI技術による競争激化に直面していますが、依然として検索市場での強力な地位を維持しています。投資家にとっては短期的な不確実性があるものの、長期的には引き続き注目すべき銘柄です。検索広告の強みやユーザーの高い支持率は、アルファベットの競争力を下支えする要因となりそうです。
＊過去記事 アルファベット GOOGL