先週の米国市場で注目されたのは、FRBの政策決定に加え、アップル(AAPL)の新型iPhone 16の発表でした。多くのアップルファンが期待する中、新しいモデルが店頭に並びましたが、投資家にとってはやや複雑な状況となっています。歴史的に見ても、iPhoneの発表がアップルの株価に与える影響は微妙です。
アップルの株価は、iPhoneの発表日には平均して0.1%下落し、発売日にも同様の下落傾向が見られます。しかし、注目すべきは長期的なパフォーマンスです。iPhone発売から6か月後には、アップルの株価が平均で11.7%上昇し、S&P 500指数を大きく上回る傾向があります。アップルはiPhoneに依存しない事業構造を確立しつつあり、そのことが株価の安定性に寄与しています。
過去のiPhone発表と株価の動向
過去17年間のデータを分析すると、iPhone発表直後のアップル株は短期的には下落する傾向にあります。発表日には平均0.1%、そして発売日にも同様の0.1%の下落が確認されています。しかし、発売後の6か月間における株価上昇率は平均11.7%に達しており、これは長期的な投資家にとって大きなチャンスとなります。
過去10年間において、アップルは年率26%という高いリターンを達成しており、これはS&P 500を大幅に上回る数字です。こうしたデータは、ウォール街が新型iPhoneを過小評価しがちな傾向を示しており、その後消費者の強い支持を得るというパターンが繰り返されています。
iPhone依存からの脱却
アップルの売上の構造はここ数年で変化しています。かつてiPhoneはアップルの総売上の66%を占めていましたが、現在はその割合が52%にまで減少しています。この変化は、アップルがAirPods、Apple Watch、Mac、そして関連サービスなど、他の製品ラインにも力を入れていることを示しています。これにより、iPhoneの売上に依存しない安定した収益基盤を築き上げました。
また、アップルの最新オペレーティングシステム「macOS Sequoia」では、iPhoneとMacのさらなる統合が進んでいます。新機能「iPhoneミラーリング」によって、Mac上でiPhoneアプリを簡単に操作できるようになり、デバイス間の連携がよりスムーズになりました。これにより、両デバイスの販売が促進される可能性があり、今後のmacOSアップデートにも注目が集まります。
AIへの懸念とアップルの長期戦略
投資家の中には、アップルがAI分野で出遅れていると懸念する声もあります。しかし、アップルは単にAI技術を開発しているだけでなく、世界中で愛されている製品群にこれを統合しようとしています。スマートフォンやラップトップ、タブレットなど、アップルが少しずつ改良を重ねることで、これらの製品がさらに進化していくことが期待されています。
市場ではアップルのAIに対して懐疑的な見方もありますが、アップルのAI戦略「Apple Intelligence」の発表後、株価は上昇を続けています。今年4月以降、アップルの株価は39%も上昇し、同社は再び時価総額世界一の座を奪還しました。AI機能の追加は遅れる可能性があるものの、アップルの長期的な競争力には引き続き注目すべきです。
投資家への提言
現在、アップルをカバーしているアナリストの約30%が「ホールド」または「売り」の評価をしていますが、これは「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる主要ハイテク銘柄の中では最も低い評価です。しかし、この過小評価こそが、長期的な投資家にとっては絶好の買い時となるかもしれません。
アップルは短期的な株価の変動に左右されることなく、長期的に見て堅実な成長を続ける企業です。iPhone発表後の株価下落は一時的なものに過ぎず、6か月後には市場を上回る成績を収めることが期待されています。したがって、短期的な動きに惑わされず、長期的な視点でアップルの成長を見守ることが重要です。
まとめ
アップルのiPhone発表に伴う株価の一時的な下落は、歴史的に見ても繰り返されてきましたが、長期的には大きな上昇が見込めます。特に、iPhone以外の製品やサービスが順調に成長していること、そしてAI技術の導入による今後の展開が期待される中で、アップル株は引き続き注目の銘柄であると言えます。
*過去記事はこちら アップル AAPL