9月19日の米国市場、テスラ(TSLA)の株価は昼過ぎの段階で6.87%の上昇を見せました。これには、米連邦準備制度理事会(FRB)の動向が大きく関わっています。FRBは基準となる短期金利を50ベーシスポイント(0.5%)引き下げる決定を下し、これが市場全体に大きな影響を与えました。この決定は、より一般的に予想されていた25ベーシスポイントの引き下げよりも積極的なものです。
FRBの決定がもたらす影響
今回のFRBの金利引き下げは、特に成長株にプラスの影響をもたらすと予測されています。成長株は、通常、将来の利益に期待して投資されるため、金利が下がることで、その割引率が低下し、株価が上昇しやすくなります。特にデュレーション(債券の元本回収に要する期間)が長い企業は、金利の変動に敏感であり、テスラのような企業はその恩恵を強く受けると考えられています。
テスラの株主でもあるフューチャー・ファンド・アクティブETFの共同創設者であるゲリー・ブラック氏も、この動きがテスラにとって有利だと述べています。ブラック氏は、テスラのような成長企業が金利引き下げから得る利益は非常に大きいと指摘しています。
金利引き下げが自動車市場に与える影響
今回のFRBの金利引き下げは、自動車業界全体にもポジティブな影響を与えると期待されています。自動車はローンを組んで購入されることが多いため、金利が低下することでローンのコストが下がり、消費者にとって自動車がより手頃なものとなります。これにより、ゼネラル・モーターズやフォード・モーターの株価もそれぞれ1.2%、ステラティスの株価も2.4%上昇しています。
業界データ専門家であるレベッカ・リンドランド氏も、供給増加と金利引き下げが消費者にとって購入意欲を高める要因になると述べており、今後の自動車市場はより予測しやすくなると予想しています。
テスラの販売動向と株価の影響
テスラの株価は、FRBの政策発表の後に大きな変動を見せる傾向があります。2019年以降、FRBの政策発表日には平均で2.5%の変動が見られ、発表翌日には平均で3.2%の変動が確認されています。特に、テスラの株価はFRBの政策と同じ方向に動くことが多く、約75%の確率で市場全体と同じ動きをしています。
19日の時点で、テスラの株価は年初来で約9%下落していましたが、FRBの決定を受けて大きく回復しています。一方で、テスラの電気自動車(EV)販売は2024年上半期に前年比で約7%減少しており、投資家の懸念材料となっています。
欧州と中国の市場動向
欧州の自動車市場は、2024年8月に新車販売台数が前年同月比で約17%減少しました。特にバッテリー式電気自動車(BEV)の販売は36%減少しており、プラグインハイブリッド車(PHEV)の販売も22%減少しています。しかし、中国市場ではテスラの販売が好調で、シティのアナリスト、ジェフ・チョン氏のデータによると、先週テスラは15,000台以上を販売し、四半期として過去最高のペースで推移しています。
まとめ
テスラの株価上昇は、FRBの積極的な金利引き下げが追い風となっています。金利の引き下げにより、特にテスラのような成長企業は恩恵を受けやすく、また自動車市場全体も低金利環境の中で安定した需要が見込まれています。欧州の販売不振は一時的な懸念材料ですが、中国市場での好調な販売が全体をカバーしており、今後のテスラの成長にも注目が集まっています。
*過去記事はこちら テスラ TSLA