インテルの株価急騰!米国政府からの30億ドル助成金の真相とは?

  • 2024年9月17日
  • 2024年9月17日
  • BS余話

9月16日の米国市場で半導体セクターが全般的に停滞傾向を示す中、それに逆行する形で、インテル(INTC)の株価が大幅に上昇しました。この上昇の背景には、米国政府からの巨額な助成金が影響しています。ブルームバーグの報道によると、インテルは国防総省向けに製造される半導体プロジェクトに対して、数十億ドル規模の助成金を受け取ることが決定しました。

この発表を受け、インテルの株価は9月16日の市場で6.36%上昇し、20.91ドルを記録しました。一方で、iShares Semiconductor ETFは同日に1.3%の下落を見せており、インテルの強気の動きが際立つ結果となりました。

インテルが受け取る助成金とその影響

インテルは「セキュア・エンクレイブ」プログラムの一環として、最大30億ドルの直接助成金を米国政府から受け取ることが決定しました。この助成金は、米国防総省向けの重要な半導体製造プロジェクトを支えるものであり、インテルにとって大きな財政的後押しとなります。

同社は2023年から2024年にかけて業績が低迷しており、特に台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)やサムスン電子などの競合に対抗するための積極的な投資が負担となっていました。しかし、この助成金は、CEOのパット・ゲルシンガー氏が主導する改革計画において、重要な資金源となりそうです。

インテル株価の今年の動向

インテルの株価は、2024年に入ってから約58%の下落を記録しており、同社の再建計画が市場で期待されている一方で、短期的な業績悪化が続いています。しかし、今回の助成金受給は、米国政府が依然としてインテルの能力を信頼している証といえます。特に、インテルが米国の半導体製造において重要な役割を果たしていることが、この支援決定に繋がったと考えられます。

今後の展望とインテルの戦略

8月には、インテルが事業の再編成に向けて大幅な改革を検討していることが報じられました。具体的には、製品設計および製造事業の分割、特定の工場プロジェクトの中止、さらにはM&Aを含むさまざまな選択肢が議論されています。

また、3月にはインテルがバイデン政権との協力を発表し、商務省が提案したCHIPS・科学法から最大85億ドルの直接資金援助を受けることが明らかになりました。この資金は、アリゾナ州、ニューメキシコ州、オハイオ州、オレゴン州における工場プロジェクトを支援するために利用される予定です。

米国半導体産業への期待

インテルが今回受け取る国防総省向けの助成金は、CHIPS・科学法の一部として資金提供されますが、特別に管理されることがブルームバーグにより報じられています。2022年に米国議会で可決されたCHIPS・科学法は、米国内の半導体製造を強化するために数十億ドルの資金を投入するもので、インテルのような大手企業にとっては大きな後押しとなります。

このような政府からの支援を受け、インテルは世界の半導体市場において再び主導的な役割を果たすための基盤を整えつつあります。競合企業との厳しい競争に勝ち抜くためにも、今回の助成金は同社の成長に不可欠な要素になると予想されます。

まとめ

インテルの株価は、国防総省向けの半導体製造に対する巨額の助成金が決定したことにより、上昇を見せました。半導体業界全体が厳しい状況にある中で、インテルはこの助成金を活用し、事業再建と競争力強化を目指しています。米国政府からの信頼と支援を背景に、インテルの今後の成長に期待が高まっています。

*過去記事「インテルの再建計画が岐路に!アルテラ売却と資本支出削減の行方

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