かつてエネルギー業界を代表する世界最大級の石油サービス企業であったシュルンベルジェ (SLB)。現在も100カ国で事業を展開し、技術的なリーダーシップを発揮し続けている同社ですが、かつての栄光に比べ、株価は長期的に低迷しています。しかし、投資情報誌バロンズは、株価がこの1年で最低レベルまで低下した今が再評価のチャンスではないかと見ています。同誌がSLBを推奨する記事を掲載していますので、その内容を紹介させていただきます。
エネルギー業界における変遷とSLBの現在のポジション
SLBは、1926年にフランスのシュルンベルジェ兄弟によって設立され、エネルギー業界の中心的役割を果たしてきました。特に石油・ガス業界の技術革新に貢献しており、地層のマッピングや深海市場での作業において、他の同業他社よりも一歩先んじています。しかし、現在の時価総額は600億ドル以下であり、S&P500種株価指数でもトップの100銘柄に含まれていません。
過去には市場のホットな銘柄の一つとして世界第5位の時価総額を誇っていたSLBですが、エネルギー分野の相対的な重要性の低下により、投資家からの注目が薄れているのが現状です。石油価格の変動や中国の需要低下、石油輸出国機構(OPEC)の政策が業界全体に影響を与えています。
SLBには投資の魅力が残る
しかし、バロンズは、SLBが依然としてエネルギー業界における技術的リーダーであり、特に石油サービス分野での優位性を保っている点を強調しています。石油・ガス事業は今後も世界的に需要が続くと見られており、SLBの株価はその潜在力を十分に反映していないと指摘しています。
バロンズによる投資の魅力の分析
現在の株価は約40ドル、配当利回りは2.8%と堅実な水準であり、バロンズはSLBが今後数年間でさらに成長する余地があるとしています。2024年には30億ドル、2025年には40億ドルを株主還元に充てる計画があり、これは投資家にとって大きな魅力です。さらに、バークレイズのアナリストによると、エネルギー分野の資本支出は2026年までに約20%増加する見込みであり、SLBの株価回復を後押しする材料となっています。
技術的リーダーシップとデジタル事業
バロンズの記事では、SLBが石油・ガス業界での技術的リーダーシップを発揮している点も強調されています。特に石油増進回収技術や、急成長しているデジタルビジネスが注目されています。SLBのデジタル事業は現在、全体利益の20%を占め、クラウド技術を活用したソリューションは、今後の成長ドライバーとして期待されています。
投資の好機
バロンズによれば、SLBの株価は過去の水準に比べると低迷しているものの、エネルギー市場における技術的優位性や成長ポテンシャルを考慮すれば、現在の価格は割安と評価できます。特に、2025年と2026年には一株当たり利益の大幅な増加が見込まれており、今が投資のチャンスであるとバロンズは示唆しています。
まとめ:投資家にとっての再評価の時期
SLBは、石油サービス業界におけるテクノロジー・リーダーであり、同業他社と比べてもその割安さは魅力的です。長期的なエネルギー需要は依然として世界的に増加しており、石油・ガス分野は今後も重要な役割を果たし続けると予想されています。そのため、SLBは今後も投資の好機を提供し続ける可能性があります。
石油価格の変動や世界的なエネルギー政策の影響を受ける可能性はありますが、その分、SLBの低迷した株価にはこれらのリスクが既に織り込まれているとも言えます。したがって、エネルギー分野での投資を検討している投資家にとって、SLBは注目すべき銘柄と言えます。
*過去記事「選挙結果に左右されない米国株!バロンズが選ぶ10の銘柄」