マイクロン株、BNPパリバの格下げで急落!今後の展望とリスクとは?

  • 2024年9月13日
  • 2024年9月13日
  • BS余話

マイクロン・テクノロジー(MU)の株価が9月12日の米国市場で急落しました。BNPパリバのカール・アッカーマン氏が同社の格付け「アウトパフォーム」から「アンダーパフォーム」にダウングレードし、目標株価を140ドルから67ドルに引き下げたことが主な要因です。この大幅な目標株価の引き下げにより同氏が設定した新たな目標株価は、ウォール街のアナリストの中で最も低いものとなりました。

マイクロンの株価は12日午前に一時6.5%急落し、84.75ドルまで下がりました。これは、2024年6月18日に記録した史上最高値である153.45ドルから、45%の急落となっています。

投資家の動向と政治的懸念

今回の株価急落の背景には、投資家がバリュエーションの高いハイテク企業から中小企業へ資金をシフトしていることが挙げられます。また、政治的な懸念も半導体セクター全体に圧力をかけています。バイデン政権が、中国への半導体製造装置の輸出に対する規制を強化する可能性があると報じられており、これが業界全体の不安を引き起こしています。

競争激化とAI半導体市場

アッカーマン氏は、マイクロンが2025年までに人工知能(AI)向けの半導体市場で他の同業他社と比較してアンダーパフォームする可能性が高いと指摘しています。特に、高帯域幅メモリー(HBM)の供給過剰が、マイクロンのメモリーチップの平均販売価格(ASP)を押し下げると予測されています。

もしこの供給過剰が続き、メモリーチップの価格がさらに下がる場合、マイクロンの株価はアッカーマン氏が設定した67ドルを下回る可能性もあります。さらに、アナリストによる追加の格下げや、業績予想の下方修正も懸念材料です。

他のアナリストの見解は?

しかし、すべてのアナリストがこのように悲観的ではありません。ファクトセットが調査した41人のアナリストのうち、38人が「買い」、2人が「ホールド」、1人が「売り」という評価を下しています。たとえば、ニュー・ストリート・リサーチのアナリストであるピエール・フェラーグ氏は、8月に目標株価150ドルを再確認しています。同氏はリサーチノートの中で、2024年後半のデータセンター向けメモリー市場の見通しに対して楽観的な見方を示しており、AIの需要が高まることで、従来のサーバー市場が回復し、メモリー市場全体に力強い成長が見込まれると述べています。

株価動向と今後の展望

現時点で、マイクロンの株価は今年に入って0.7%の下落を記録しています。一方で、iシェアーズ・セミコンダクターETF(SOXX)は14%上昇し、S&P500(SPX)は17%上昇しています。こうしたデータからも、半導体セクター全体の成長とは対照的に、マイクロンは依然として厳しい局面に立たされていることが伺えます。

しかし、AIの普及とデータセンターの需要拡大に伴い、マイクロンにとっても長期的な成長の可能性が残されていると言えます。特にエヌビディアなど、AI関連の半導体企業が牽引する市場の成長は、マイクロンにとっても大きな影響を与える要因となりそうです。

まとめ

BNPパリバによるダウングレードや供給過剰の懸念が短期的にはマイクロン株にマイナスの影響を与えるかもしれませんが、長期的にはAIやデータセンター向けのメモリ市場の成長が期待されています。今後の市場動向と政治的な影響にも注目しながら、投資判断を行うことが重要です。

*過去記事「AI市場の急成長が後押し:マイクロンの株価はどこまで上がる?

最新情報をチェックしよう!