アドビ(ADBE)は、9月12日の米国市場終了後に発表した8月期決算で、再び市場予想を上回る好成績をあげました。売上高や利益がウォール街の予想を上回り、アドビの強力なビジネス基盤を再確認する形となりました。しかし、11月期のガイダンスが期待に届かなかったことが株価に影響を与え、アフターマーケット取引では9.1%下落し、533ドルとなりました。
好調な8月期決算
アドビは8月期決算で、売上高54億ドル、1株あたり4.65ドルの利益を計上し、前年同期から売上高が11%増加しました。これに対し、ウォール街のコンセンサス予想では、売上高53億7,000万ドル、1株あたり4.53ドルとされていました。結果として、アドビは予想を大きく上回る成績を残したことになります。
特に注目されたのは、アドビの最大の収益源であるデジタルメディア製品の売上です。このカテゴリーは前年同期比11%増加し、40億ドルを記録しました。アナリスト予想ともほぼ一致する結果です。
デジタルメディアの新規契約数が予想を上回る
アドビのデジタルメディア製品における新規契約純増額は5億5,000万ドルで、予想の4億6,000万ドルを大きく上回りました。この増加幅は、5月期の4億9,000万ドルを超えるもので、投資家に大きな期待を抱かせました。
11月期ガイダンスの影響で株価は下落
好調な決算にもかかわらず、11月期のガイダンスは市場を失望させました。アドビは11月期の売上高を55億ドル〜55億5,000万ドル、1株あたりの利益を4.63ドル〜4.68ドルと予想しましたが、これはウォール街の予想である56億ドル、1株あたり4.67ドルをやや下回るものでした。
特に注目されたデジタルメディアの新規契約純増数についても、8月期と同じ5億5,000万ドルを見込んでいると発表しましたが、ウォール街の予想は5億6,500万ドルと高く、これが株価の下落要因となったと分析されています。
サブスクリプション成長と価格戦略
CFOのダン・ダーン氏は、バロンズ誌のインタビューで、サブスクリプションの伸びが売上成長の主要因であると強調しました。特に、新規サブスクリプションの増加と既存顧客へのアップセルが主要な収益ドライバーとなり、価格の引き上げはそれに次ぐ要素であると述べています。
生成AIの成長と期待
アドビは、生成AI技術を活用しており、同社の生成AI製品であるFireflyの改善が進んでいます。この技術革新は、同社にとって大きな収益源になると予想されています。特に、アーティストやデザイナー向けに提供される画像やビデオ生成の技術は、今後も市場で高い評価を得ることが期待されています。
米国みずほ証券のグレッグ・モスコウィッツ氏は、「アドビは生成AI技術の革新において、まだその可能性の表面にしか触れていない」とし、今後さらに高いプラットフォーム導入と収益化が期待できると述べています。
投資家への影響と今後の展望
アドビは8月期に好調な決算を発表したものの、11月期のガイダンスが期待に届かなかったため、株価は時間外取引で下落しました。しかし、生成AI技術の成長やサブスクリプションの堅調な増加により、長期的な成長の可能性は依然として強固です。投資家は短期的な株価の動きに惑わされず、アドビの長期的な技術革新と市場支配力に目を向けるべきと思われます。
まとめ
アドビ の最新決算は、売上・利益ともに予想を上回る好成績を示しましたが、11月期のガイダンスが予想を下回り、株価に影響を与えました。生成AI技術の成長やサブスクリプションビジネスの拡大により、長期的には依然として高い成長が期待できる企業です。
*過去記事「アドビ決算発表で株価17%急上昇!AI技術が収益を牽引」