8月29日の米国市場では、ここしばらく目にしなかった出来事が起こりました。エヌビディア(NVDA)が前日発表した決算報告は、多くの投資家にとって「期待外れ」と感じられましたが、それにもかかわらず、市場全体は横ばいからやや上昇する結果となりました。
エヌビディアの決算報告:期待を超えるも株価は下落
エヌビディアの最新の決算報告では、収益と売上高が前年から2倍以上に増加し、予想を上回る結果を示しました。さらに、来期のガイダンスも良好でした。それでも、投資家はさらに良い結果を期待していたため、株価は6.38%下落しました。このことから、エヌビディアの株価は「完璧」を前提として見られており、今回の報告書は10点満点中7点か8点程度で、満点には届かなかったと判断されたことがわかります。
エヌビディアの株価下落が市場全体に与えた影響
エヌビディアの失速にもかかわらず、米国市場全体はその影響を感じることなく、逆に上昇しました。例えば、インテル(INTC)の株価は3%近く上昇し、ダウ平均株価の中で最も良いパフォーマンスを示しました。ダウ平均株価は約245ポイント(0.6%)上昇し、過去最高値を更新しました。
エヌビディアはダウ平均株価の構成銘柄ではないものの、S&P 500とナスダック総合指数の構成銘柄の上位に位置しています。しかし、両指数はほぼ横ばいの状態でした。また、エヌビディアが6%以上の下落を見せたにもかかわらず、PHLX半導体指数(SOX)は0.6%の下落にとどまりました。
ワデル・アンド・アソシエイツのCEO、デビッド・ワデル氏は、「エヌビディアが下落しても市場全体が影響を受けなかったのは良いニュースだ」とコメントしています。同氏は、エヌビディアが市場にとって重要な存在であることに変わりはないが、もはや「絶対的な存在」ではなくなったと述べています。
エヌビディアに代わる投資先
エヌビディアが一息ついた今、投資家がAIや新興成長分野においてどのような戦略を取るべきかが問われます。ノイバーガー・バーマンのシニアリサーチアナリスト、ダン・フラックス氏は、エヌビディアに代わる魅力的な投資先として以下の4銘柄を挙げています。
- クアルコム(QCOM)
クアルコムは自動車用チップの主要メーカーであり、スマートフォン用半導体の主要サプライヤーでもあります。予想利益倍率が17倍とエヌビディアの42倍に比べてかなり低いため、魅力的な投資先となっています。 - モトローラ・ソリューションズ(MSI)
公共安全当局向けの機器に使用されるチップのリーダーであり、緊急対応者向けのビデオやテキスト機能を強化することで成長の余地があるとされています。 - シスコ・システムズ(CSCO)
シスコは予想利益倍率が14倍で、サイバーセキュリティ事業を強化するために280億ドルでスプランクを買収したことが評価されています。 - オラクル(ORCL)
オラクルはクラウドベースの製品需要の高まりから利益を得る企業で、予想利益倍率は22倍です。
長期的な視点でエヌビディアを考える
エヌビディアの株価は一時的な下落を見せたものの、その成長ポテンシャルは依然として高いと考えられています。フラックス氏は、「エヌビディアは製品サイクルを通じて、マイクロソフトやアップルのように新たな収益源を生み出すことができるだろう」と述べており、今後2~3年の間に大きな上昇余地があるとしています。
まとめ
エヌビディアの株価下落は、同社に対する過剰な期待が要因ですが、その実力に疑いはありません。一方で、インテルやクアルコム、シスコ、オラクルといった他のテクノロジー企業も、長期的な投資戦略の一環として注目に値します。米国市場は常に変動し続けていますが、冷静な判断が求められる時代に突入していることは間違いありません。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA