エヌビディア( NVDA)は8月12日の終値の時点で時価総額2兆6820億ドルで、マイクロソフト(MSFT)に次ぐ世界第3位の企業となっています。この半導体専門企業の価値は、同社のデータセンター用グラフィックプロセッシングユニット(GPU)がAIの普及において中心的な役割を果たすことが明らかになった2022年末以降、著しく上昇しています。
エヌビディアのAI革命:ChatGPTとGPUの力
エヌビディアの成長の鍵となったのは、マイクロソフトのパートナー企業であるOpenAIによる「ChatGPT」のトレーニングにエヌビディアのGPUが使用されたことです。2022年後半にリリースされたChatGPTは瞬く間に人気を博し、以降、世界中のテクノロジー大手がAIモデルのトレーニングと展開のためにエヌビディアのAI GPUの購入に殺到しています。この動きにより、エヌビディアはAIチップ市場の80%以上を支配し、AMDなどのライバル企業はわずかなシェアしか残っていない状況となっています。
次世代AIチップとエヌビディアの未来
キーバンク・キャピタル・マーケッツのアナリスト、ジョン・ヴィン氏は、次世代のブラックウェルAIチップに対する需要が予想以上に強く、エヌビディアは来年、データセンター事業で2000億ドルもの売上を上げる可能性があるとしています。これは、エヌビディアが昨年報告したデータセンター事業の売上475億ドルを大幅に上回る数字です。
一方、アナリストのコンセンサス予想では、エヌビディアのデータセンター売上は来年には1400億ドルに増加する可能性があると示唆しています。それでも、昨年の同セグメントの売上を大幅に上回る増加となります。対照的に、AMDは今年、データセンター向けGPUを45億ドル相当販売する見込みであり、このことからもエヌビディアの市場における優位性は明らかです。
エヌビディアの長期的成長見通し
エヌビディアは、以前の2年ごとのラインナップ更新計画を変更し、今後は毎年新しいAI GPUをリリースする予定です。この計画は、同社が今後10年間にわたりAIチップ市場で確固たるシェアを維持し続ける可能性を示唆しています。Future Market Insightsによれば、2034年のGPU市場全体の価値は1兆1600億ドルに達すると予想されており、この市場におけるエヌビディアの強固な地位は、今後10年間にわたる力強い成長をもたらすことになりそうです。
さらに、アナリストらは今後5年間でエヌビディアの売上が年率42%で成長すると予測しています。これは、同期間にマイクロソフトが達成すると見込まれる年率13%の売上成長率を大幅に上回る数字です。
まとめ:エヌビディアの未来展望
エヌビディアの巨大な最終市場の可能性と圧倒的なシェアは、今後5年間、そして10年間にわたってマイクロソフトよりも速いペースで成長を続ける可能性を示唆しています。そのため、10年後にはエヌビディアがマイクロソフトの時価総額を追い抜くという結果になっても驚くことではありません。
エヌビディアのAIチップ市場における独占的な地位と将来的な成長見通しに注目することで、投資家はこの企業の潜在的な利益を見逃さないようにする必要があります。今後もエヌビディアの動向を注視し、適切な投資判断を下すことが重要です。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA