2024年のパリオリンピックは、世界中の注目を集めました。その中で、エアビーアンドビー(ABNB)はパリの街中に40万人の観客のための臨時住宅を提供し、そのプラットフォームの力を見せつけました。しかし、ウォール街はそれを評価するどころか、第3四半期の財務見通しが期待外れだったことを受けて、エアビーアンドビーに冷ややかな目を向けています。
投資家の反応と株価の動向
エアビーアンドビーの株価は、先週1週間で10%以上下落し、115ドルにまで低下しました。これは、同社が2021年初頭に株式公開を行った際のピーク時の半分強の水準です。多くのウォール街のアナリストは、この株式を「中立」または「売り」と評価しています。
市場の反応と今後の可能性
バーンスタインのアナリスト、リチャード・クラーク氏は、「エアビーアンドビーはホテルからシェアを奪い続け、さらにグローバル化していくだろう。このビジネスには大きな可能性が秘められている」と述べています。同氏はエアビーアンドビーの格付けを「アウトパフォーム」と評価し、目標株価を現在の株価から51%増の174ドルと設定しています。
新たなビジネス展開と市場拡大
エアビーアンドビーのCEOであるブライアン・チェスキー氏は、今後は旅行体験やスポンサー付きリスティング、ロイヤリティプログラム、不動産管理事業など、新たなビジネス展開を計画しています。また、同社はまだ多くの未開拓市場を残しており、今後の成長が期待されます。
財務状況と評価
エアビーアンドビーの株価は、2024年の予想利益1株当たり4.23ドルに対して約26倍、2025年の予想利益1株当たり4.60ドルに対して23倍で取引されています。ホストとゲストの仲介役であるエアビーアンドビーは、それほど多くの資本を必要としません。同社はかなりのフリーキャッシュフローを生み出し、業界最高の利益率を誇っています。
同社は、100億ドル近い現金および短期投資という強力なバランスシートを保有しており、これは同社の時価総額730億ドルのほぼ15%に相当します。 現金および短期投資は、自社株買いの規模によっては今後3年間で倍増する可能性があります。
チャレンジと未来への展望
エアビーアンドビーは、最近の株価下落や第3四半期の業績見通しが期待外れに終わったことに対して、マーケティング費用の増加と「米国のゲストからの需要の鈍化」を理由に挙げています。しかし、エアビーアンドビーの最高財務責任者(CFO)であるエリー・メルツ氏は、「当社の成長戦略は、一時的なマクロトレンドを相殺する以上の効果をもたらすでしょう」と述べています。
エアビーアンドビーの利益率が高い主な理由は、消費者のブランド認知度が高いことだと同氏は言います。ウェブサイトへのトラフィックの約90%は直接アクセスであり、つまり同社は消費者をプラットフォームに誘導するために支払う費用が比較的少ないことを意味します。
まとめ
エアビーアンドビーは、競合他社に先んじて旅行者の体験を向上させ、信頼性を向上させる取り組みを進めています。チェスキー氏は、ホテルとエアビーアンドビーにはそれぞれに適した利用シーンがあると認め、エアビーアンドビーの長期的な成長と競争力の維持に自信を見せています。ホテル業界の評価額と比較しても、エアビーアンドビーの今後の展開には大きな期待が寄せられています。
*過去記事はこちら エアビーアンドビー ABNB