スーパーマイクロの急成長の裏に潜むリスクと今後の展望

スーパー・マイクロ・コンピュータ(SMCI)は、AIブームの波に乗り、驚異的な売上成長を遂げています。しかし、同時に投資家たちは利益率と競争の激化に対する懸念を抱き始めています。この記事では、スーパーマイクロの最近の業績と今後の展望について詳しく解説します。

スーパーマイクロの売上成長と課題

スーパーマイクロは、S&P500種株価指数をリードする最も注目されるAI銘柄の一つです。しかし、その大幅な売上成長を多額の利益に転換することに苦労しています。8月6日、同社は第4四半期決算を発表し、アナリスト予想を大きく下回りました。売上高はコンセンサス予想を1000万ドル下回る53億1000万ドルに達しましたが、供給による制約がなければ約8億ドルの増収が見込まれていたとされています。

利益率の低下と競争の激化

スーパーマイクロの第4四半期の売上総利益率は11.2%に低下しました。これは前年同期の17%から大幅に減少した結果です。デイビッド・ワイガンド最高財務責任者(CFO)は、今後の目標として利益率を14%〜17%に引き上げることを明言しました。しかし、利益率の低下は、部品コストの上昇や競争の激化による影響を受けています。例えば、DRAMとSSDの部品コストは依然として上昇を続けており、デルやフォックスコンなどの競合企業も市場シェアを拡大しようと積極的に動いています。

液冷技術への期待と今後の展望

スーパーマイクロは、AIデータセンターの電力コスト削減に役立つ直接液冷に最適化されたサーバーの販売を開始しました。アナリストは、これにより利幅が若干増加すると期待していますが、売上全体に占めるこれらのシステムの割合はまだ小さいと見ています。

しかし、チャールズ・リャン最高経営責任者(CEO)は、来年には液冷技術を採用したサーバーが事業の「重要な一部」になると述べています。この技術の普及により、スーパーマイクロの収益性が改善されることが期待されます。

競合他社の状況と市場展望

スーパーマイクロの競合他社であるデル・テクノロジーズ(DELL)やヒューレット・パッカード・エンタープライズ (HPE)も同様に利益率の問題に直面しています。デルは昨年大幅な人員削減を行い、営業組織を中心にスリム化を図っています。イボンヌ・マクギルCFOは、「利益率は低下するが、利益額は増加する」と説明しています。

スーパーマイクロが売上成長でライバルを上回ったように、利益でもライバルを上回ることができるかどうかは依然として大きな疑問です。同社はマレーシアと台湾に追加施設を建設し、米国でも事業を拡大していますが、今後の設備投資の見通しは明らかにされていません。

まとめ

スーパーマイクロは、AIブームの恩恵を受けて驚異的な売上成長を遂げていますが、利益率の低下と競争の激化という課題に直面しています。今後、液冷技術の普及とエヌビディアの新ラインBlackwellの出荷開始により、同社の収益性がどのように変化するか注目されます。投資家は、これらの要因を注視しつつ、スーパーマイクロの将来性を見極める必要があります。

*過去記事はこちら  スーパー・マイクロ・コンピュータ SMCI

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