クアルコム(QCOM)の株価は、7月31日の決算発表後に大幅に下落しました。これはウォール街がクアルコムの成長がAI対応スマートフォンに依存していると考えているためです。ここでは、クアルコムの最新の業績と将来の展望について詳しく見ていきます。
クアルコムの最新の四半期決算
クアルコムは最新の四半期決算で、予想を上回る利益と売上高を発表しました。主要なモバイルプロセッサーと5Gチップセット事業では、売上高が前年同期比12%増の59億ドル、自動車部門の売上高も87%増の8億1100万ドルに達しました。しかし、ウォール街のアナリストたちはさらに高い成果を期待しており、これに対する失望感からクアルコムの株価は急落しました。8月1日の終値は9.37%下落し164ドルとなりました。
AIスマートフォンが成長の鍵
クアルコムの成長が特に注目されているのは、AI対応スマートフォンの分野です。AI機能を搭載したスマートフォンが市場に浸透すれば、クアルコムのチップに対する需要が高まることが予想されます。トップ顧客のアップル(AAPL)は、新型iPhone 16にAI機能を搭載する予定です。サムスンやグーグルもAI搭載端末の開発に力を入れています。
しかし、AIスマートフォンがすぐに普及するとは限りません。UBSのアナリスト、デイビッド・ヴォクト氏は、iPhone 16へのアップグレードを希望するユーザーは限られており、iPhoneの売上成長率はわずか2.4%増にとどまると予想しています。
AIスマートフォンの普及と課題
オッペンハイマーのアナリスト、リック・シェーファー氏も、AIスマートフォンの普及が予想より遅れる可能性があると警告しています。同氏は、AIを活用したアプリケーションが依然として限られている点を指摘しています。サスケハナ・インターナショナル・グループのクリストファー・ローランド氏も、クアルコムの主力携帯電話市場が予想よりやや弱いと警告しつつも、目標株価を250ドルに据え置きました。
ファーウェイとの取引禁止がもたらす影響
さらに、クアルコムは重要な顧客を失う可能性があります。アメリカ政府は、クアルコムが中国の携帯電話メーカー、ファーウェイと取引を行うことを禁止しました。この禁止措置により、クアルコムは四半期に2億ドルの利益を失う可能性があります。
クアルコムの未来展望
クアルコムのクリスチアーノ・アモン最高経営責任者(CEO)は、次世代デバイスが「AI中心」になり、より多くのAI機能と性能を提供すると述べており、これは、スマートフォン市場におけるクアルコムの将来を明るくする要素となるでしょう。
株主たちは、クアルコムがこの予測通りに成功することを願っています。AI技術が進化し、スマートフォン市場がどのように変化していくのか、今後の動向に注目が集まります。
*過去記事「クアルコムの第3四半期決算発表後の株価変動と今後の見通し」