アマゾン(AMZN)が8月1日に発表した第2四半期決算はウォール街の予想を下回り、株価は時間外取引で8%近く下落しました。しかし、アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は決算発表後の投資家との電話会見で、同社のAI投資とクラウド事業の堅調な成長について語り、将来の見通しに自信を示しました。
売上高と利益の状況
アマゾンの第2四半期の売上高は前年同期比10%増の1480億ドルでしたが、アナリスト予想の1487億ドルにはわずかに届きませんでした。しかし、1株当たり利益は94%増の1.26ドルで、ファクトセットが調査したアナリストの予想1.03ドルを大きく上回る結果となりました。
クラウド事業の成長
アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の収益は19%増の263億ドルとなり、予想の260億ドルを上回りました。これに対し、ライバルのマイクロソフトのクラウド事業は同期間に285億ドルを売り上げ、21%増を記録しています。
ジャシーCEOは、「IT支出を社内システムからクラウドベースのソリューションに移行する企業が増えるにつれ、AWSは成長を続ける」と述べ、AWS内の生成AI事業についても「急速に大きくなるだろう」と語りました。
広告サービスと営業利益
広告サービス部門の売上高は20%増の128億ドルで、アナリスト予想の21.7%を下回ったものの、全体の中で最も高い成長率を記録しました。また、第2四半期の営業利益は前年同期比91%増の147億ドルとなり、第1四半期の80%増に続き、事前のガイダンスを上回りました。
第3四半期の見通しと投資計画
アマゾンは第3四半期の売上高を1540億ドルから1585億ドルの範囲と予想しており、アナリスト予想の1582億2000万ドルに対してやや弱いガイダンスを提示しました。
さらに、資本支出は第1四半期の139億ドルから164億ドルに急増し、前年同期比58%増となりました。他の大手テック企業と比較しても、アマゾンの投資額は突出しており、AIへの多額の投資がその一因とされています。
その他の投資プロジェクト
ジャシーCEOは、プロジェクト・カイパーとして知られるブロードバンド・インターネット衛星ネットワークの立ち上げも今年後半に計画していることを明らかにしました。また、現在マイアミ、フェニックス、シアトルなどで展開している即日薬局サービスの拡大も視野に入れています。
アナリストの評価と市場の反応
アマゾンに対するアナリストの評価は依然として高く、みずほのジェームス・リー氏はAWSの成長もあり、6月期のトップ・ピックとしました。JPモルガンのダグ・アンマス氏は、ウーバー(UBER)やアルファベット(GOOGL)と並んでアマゾンを「ベスト・アイデア」と評価しています。
一方で、ビッグ・テック企業の決算発表に対する投資家の反応はまちまちです。アルファベット、アップル、マイクロソフトは決算発表後に下落した一方、メタ・プラットフォームズの業績が堅調に推移し、株価が上昇しました。
終わりに
アマゾン株は年初来で21%の上昇を続けており、ナスダック総合株価指数の15%上昇を上回るパフォーマンスを見せています。今後のAI投資やクラウド事業の成長が、アマゾンの株価にどのような影響を与えるか注目されます。
*過去記事はこちら アマゾン AMZN