アーム・ホールディングス(ARM)は、7月31日の通常取引で8.43%の上昇を記録し、半導体市場の広範な急騰の一例として注目を集めました。しかし、時間外取引では株価が約11%下落しました。これは、予想を大きく上回る会計年度第1四半期決算を発表したものの、ロイヤリティ収入がアナリスト予想に未達だったためです。
第1四半期決算の概要
アームは第1四半期に2億2300万ドル(1株当たり21セント)の純利益を計上し、前年同期の1億500万ドル(1株当たり10セント)を大きく上回りました。調整後ベースでは、アナリストが予想していた34セントを超え、1株当たり40セントを稼ぎ出しました。
売上高は前年の6億7500万ドルから39%増加し、9億3900万ドルに達しましたが、アナリスト予想の9億600万ドルには届きませんでした。ファクトセット調べのアナリストのコンセンサス予想では4億9200万ドルとされていたロイヤリティ収入は、実際には4億6700万ドルにとどまりました。
ライセンス収入およびその他の収入は4億7200万ドルで、こちらはアナリスト予想の4億1800万ドルを上回りました。
ライセンス事業は好調
前四半期、アナリストはアームのライセンス事業の業績がロイヤリティ事業の先行指標となることを指摘しました。決算説明会では、経営陣が人工知能(AI)の影響によりライセンシングの勢いが増していることを強調しました。
Aアームの経営陣は「IPの一部を顧客にライセンス供与してから、そのIPがチップに組み込まれ、そのチップがエンドシステムに搭載され、最終的に顧客の手に渡るまで、3年から4年、場合によってはそれ以上かかることもある」と述べています。
アームは今年度の全体ガイダンスを38億ドル〜41億ドルに据え置きました。
アナリストの評価と今後の見通し
HSBCは今週初め、アームの株価の割高なバリュエーションや「アンドロイド・スマートフォンの勢いが減速する可能性、AIのシナリオが以前の予想よりも強気でないこと」を理由に、短期的な収益のダウンサイドリスクがあると警戒感を示しました。そのため、アームの株価はアナリストによる格下げ対象となりました。
まとめ
アーム・ホールディングスは第1四半期決算で強力な業績を示したものの、ロイヤリティ収入の未達と短期的な収益リスクにより、株価は時間外取引で下落しました。長期的には、AI技術の進展とライセンス事業の成長が期待されますが、短期的には市場の動向に注意が必要です。
*過去記事「アームの未来に影?アンドロイド需要とAI期待の見直し」