スターバックス(SBUX)の第3四半期決算は、ウォール街の予想とほぼ一致したものの、売上高は予想を下回りました。それにもかかわらず、7月30日の時間外取引で株価は一時5%上昇しました。これは、同社の業績改善への努力が実を結び始めたと経営陣が語ったためです。
CEO ラックスマン・ナラシマンのコメント
スターバックスのラックスマン・ナラシマン最高経営責任者(CEO)は、決算発表の電話会見で次のように述べました。「われわれは3部構成からなる計画を着実に進めている。我々のチームは緊急性をもって動いている。」
第3四半期の業績ハイライト
3ヶ月間の業績を振り返ると、スターバックスは1株当たり利益93セントを計上し、前年同期から6%減少しました。売上高は1%減の91億ドルでした。ファクトセットが調査したアナリストのコンセンサス予想は、それぞれ93セントの利益と92億5000万ドルの売上でした。
世界の既存店売上高は前年同期比で3%減少し、2期連続の減少となりました。売上高の低迷は、特に中国などの国際市場における取引の縮小によるものです。
投資家の懸念
投資家は、スターバックスが今年直面する多くの逆風を警戒しています。米国では、インフレによる物価高の中で消費者がコーヒーを飲む量が減少しています。第3四半期の北米の既存店売上高は前年同期比で2%減少しました。取扱高は6%減少したものの、メニュー価格の上昇により客単価は3%上昇しました。
一方、中国市場では景気回復が予想より遅れ、低価格の現地競合店がシェアを伸ばしています。6月期の取扱高と客単価はともに7%減少し、スターバックスにとって2番目に大きな市場における継続的な課題が浮き彫りになりました。
経営陣の見解と今後の展望
ナラシマン氏は「我々はこの結果に満足していない」と述べ、店舗拡大と中国での価格競争が既存店売上高と収益性に影響を与えていると説明しました。同社は、第4四半期には事態が好転し始めると予想しています。これには、混雑時間帯の効率向上、若者にアピールする新商品、店舗に人を呼び戻すためのお得なキャンペーンなどが含まれます。
「セイレーン・クラフト・システム」と新商品
スターバックスは「セイレーン・クラフト・システム」を導入し、バリスタのルーティンワークを改善しています。また、フルーツ味のリフレッシュドリンクやエナジードリンクなど、一連の新しいドリンクを夏に発売しました。ドリンクと朝食を組み合わせた「ペアリング・メニュー」を割引価格で提供するなど、いくつかのキャンペーンも実施しています。
中国市場の動向
中国市場では、1日の平均取引額と週間売上高が前四半期比で改善しており、スターバックスリワード会員数は過去最高の2,200万人に増加しました。経営陣は、2024年のガイダンスのすべての指標を再確認し変更は発表しませんでした。
エリオット・インベストメント・マネジメントの影響
エリオット・インベストメント・マネジメントはスターバックスの株式を大量に保有し、業績改善のための改革を同社に働きかけています。スターバックスの大株主で元CEOのハワード・シュルツ氏は、エリオット社との和解案に反対しています。
最後に
スターバックスは「トランザクショナルではなく、エクスペリエンシャルであることに集中すべきだ」とシュルツ氏は指摘し、同社が市場で際立つためには、顧客体験への「マニアックな」集中が必要だと述べました。スターバックスの今後の動向に注目が集まります。
このように、スターバックスは業績改善に向けた多くの取り組みを進めており、第4四半期にはさらなる成果が期待されています。今後の経営戦略と市場動向に注目していきましょう。
*過去記事「スターバックスの株価低迷、今が買い時?配当金投資の魅力」