決算発表後のマイクロソフト株価急落、投資家が懸念する理由とは?

マイクロソフト(MSFT)の株価が7月30日のアフターマーケットで急落しました。市場終了後に2024年4〜6月期決算を発表した同社ですが、主要なクラウドコンピューティング事業の成長率がわずかに予想を下回り、投資家の間に人工知能(AI)ブームの先行きへの不安が広がりました。

四半期の売上と利益の伸び

最新の四半期決算では、マイクロソフトの売上と利益の伸びは予想を上回りました。しかし、AI事業の中核であるAzureクラウド事業の売上高は29%増にとどまりました。これは前四半期の31%増およびアナリスト予想の30%増を下回る結果となりました。

株価の動向

マイクロソフトの株価は決算発表後の時間外取引で一時6%安となりましたが、その後3%安まで戻しています。これは、CEOのサティア・ナデラ氏が推進するAI戦略の中核となるクラウドビジネスのわずかな弱さの兆候に対し、トレーダーがいかに敏感であるかを示しています。シュティフェル・フィナンシャルのアナリスト、ブラッド・リバック氏も「Azure事業に対するごく小さな変化に過度の関心を寄せる層がいる」と述べています。

決算の詳細

マイクロソフトの発表によると、4〜6月期の全体売上高は前年同期比15%増の647億ドルに達しました。純利益は220億ドルで、10%増となりました。特に注目すべきは、AI技術の導入によるコンピューター・コードの作成や複雑な情報の要約能力です。この可能性に対する期待が、昨年来のマイクロソフト株価の大幅上昇を後押ししました。

投資家の懸念

最近になって、投資家たちはハイテク企業の株価が割高になっていることを懸念し始め、ナスダック総合株価指数はここ数週間で約8%下落しました。グーグルの親会社であるアルファベット(GOOGL)の株価も、広告売上の伸び鈍化と設備投資の増加により5%下落しています。

マイクロソフトの未来

マイクロソフトの株価は年初から12%以上上昇していましたが、今月は6%ほど下落しています。ナデラ氏はマイクロソフトの未来をAIに賭けており、OpenAIとの提携やデータセンター、チップへの投資に力を入れています。4〜6月期の設備投資額は139億ドルで、前年同期から55%急増しました。マイクロソフト幹部は、AIに対する顧客需要の急増に対応するため、設備投資をこの高水準に維持する方針を示しています。

クラウドサービスとAI

マイクロソフトのクラウド総売上高は、オフィスとウィンドウズのオンラインサービスを含み、21%増の368億ドルに達しました。AI収益の大部分はクラウドサービスによるもので、主力製品にもAI技術を導入しています。特に注目すべきは、Microsoft 365やBing検索エンジン向けに提供されるAIアシスタント「Copilot」です。

まとめ

マイクロソフトの決算は予想を上回る一方で、クラウド事業の成長率が期待を下回ったことから、投資家の不安を招きました。AI技術への大規模な投資と設備投資の増加が、同社の将来を左右する鍵となりそうです。

*過去記事 マイクロソフト MSFT

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