アルファベット(GOOGL)社の株価が7月25日の午後、急落しました。その背景には、検索市場における新たな競争の兆しが見えたことが影響しているようです。この競争の火蓋を切ったのは、OpenAIが発表したSearchGPTと呼ばれる「新しい(人工知能)検索機能の一時的なプロトタイプ」です。
OpenAIの新しい検索機能とは?
OpenAIは、少数のユーザーとパブリッシャーに公開される「新しい検索機能の一時的なプロトタイプ」を発表しました。SearchGPTと呼ばれるこのプロトタイプは、ウェブからのリアルタイム情報を活用し、モデルの会話能力を強化することで、ユーザーが求める情報をより迅速かつ簡単に見つけることを目指しています。同社は、初期のフィードバックを得るために、少数のユーザーとパブリッシャーで開始し、最終的にはこの機能をChatGPTに統合すると述べています。
OpenAIはリリースで、「我々は、ウェブからのリアルタイムの情報を使って我々のモデルの会話能力を強化することで、あなたが探しているものをより速く簡単に見つけることができると信じています」と述べています。
さらに、パブリッシャーと協力し、検索結果においてパブリッシャーを引用しリンクすることで、ユーザーが情報の出所を明確に知ることができるようにする取り組みも進めています。これにより、透明性のある情報提供が実現される見込みです。
OpenAIのウェブサイトに掲載されている詳細情報を見る限り、SearchGPTの機能は、インターネット上の権威ある情報源からの最新情報へのリンクとともにクエリへの回答を提供するという点で、AIネイティブ検索の新興企業Perplexityの主なサービスと類似しているようです。Perplexityは、AIの力を使って質問に対して迅速で信頼性の高い回答を提供することを目指しています。
アルファベットへの影響
OpenAIの発表後、アルファベット社の株価は約2%下落しました。アルファベットは、検索市場をほぼ独占していますが、人工知能による新しいクエリがどのようにビジネスに影響を与えるかについて、過去18ヶ月間で多くの懸念が寄せられてきました。
例えば、OpenAIはマイクロソフト(MSFT)とパートナーシップを結んでおり、マイクロソフトのBing検索エンジンの運営に協力しています。このパートナーシップは、アルファベットから市場シェアを奪う可能性があるとされています。
アルファベットの対応策
しかし、アルファベットも手をこまねいているわけではありません。同社は検索にAIオーバービューを導入し、通常の検索結果とともにAIによる回答を提供しています。アルファベットの最新の決算説明会では、こうした取り組みがウォール街のアナリストに好意的に受け止められました。
パイパー・サンドラーのトーマス・チャンピオン氏は、顧客向けメモで「経営陣は、利用率の向上など、いくつかの有望なデータを提示した。AIの概要にアクセスするユーザーは、特に若い層の間で、利用率とユーザー満足度の増加が続いている。クエリー量は引き続き拡大しているようだ」と述べています。
まとめ
アルファベットの株価が25日午後に急落した要因として、OpenAIの新しい検索プロトタイプの発表が挙げられています。検索市場における競争が激化する中で、アルファベットもAI技術を活用した新しい取り組みを進めており、今後の展開に注目が集まります。
*過去記事 アルファベット GOOGL