エヌビディア(NVIDIA)の株価が、7月22日の米国市場で大幅に上昇しました。これは同社が中国市場向けに新しいAIプロセッサーを製造するというニュースが報じられたことが背景にあります。この発表は、エヌビディアの革新的な技術力を示すと同時に、政治的な課題をも浮き彫りにしています。
株価上昇の要因
エヌビディアの株価は、22日の終値で4.76%高の123.54ドルに達しました。これは、先週の急落からの反発と、新しいチップの発表が主な理由とされています。また、パイパー・サンドラーのアナリスト、ハーシュ・クマール氏が目標株価を120ドルから140ドルに引き上げたことも、投資家の関心を引きました。
中国市場向け新型AIチップの影響
ロイター通信によると、エヌビディアは中国市場向けに米国の輸出規制に対応したAIチップ「B20」を開発する計画です。このチップは、中国における販売パートナーのInspur社と共同で開発されます。エヌビディアは、この新しいチップが中国市場での競争力を高めると期待していますが、米国政府の規制にどこまで適合するかが鍵となります。
米国の輸出規制とエヌビディアの戦略
米国政府は2022年に中国へのAI技術の輸出を規制し、2023年10月には制限をさらに拡大しました。エヌビディアは、この規制に対応するために中国市場向けの特別なチップを開発していますが、性能の調整が求められます。高性能なチップはさらなる制裁を招く可能性がある一方で、性能が低すぎると中国国内企業との競争が激化するリスクがあります。
他のチップメーカーの動向
エヌビディアだけでなく、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)やインテル(INTC)も中国市場向けに特別なチップを提供しています。これらの企業も中国市場における規制対応に取り組んでおり、エヌビディアと同様に戦略を練っています。
投資家の反応と今後の展望
パイパー・サンドラーのクマール氏は、新しい目標株価140ドルを設定し、エヌビディアに対する「オーバーウェイト」の格付けを維持しています。これは、2026年度の予想収益に対する株価収益倍率41倍に基づいています。また、エヌビディアの新しいブラックウェル・アーキテクチャの発表が、同社の好調な事業トレンドを支えると見ています。
エヌビディアの株価は今年に入り150%上昇しており、S&P500種株価指数の17%、ナスダック総合株価指数の20%を大きく上回っています。
まとめ
エヌビディアの中国市場向けAIプロセッサーの開発は、同社の技術力と市場対応力を示す重要な一歩です。米国の規制を遵守しながら、中国市場での競争力を維持するための戦略が、今後の株価動向を左右すると予想されます。投資家にとって、エヌビディアの動向は引き続き注目すべきポイントとなります。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA