キンダー・モルガン(KMI)は、第2四半期の業績が予想を下回ったにもかかわらず、投資家から強い支持を受けています。特に、人工知能(AI)データセンターの需要が急増する中で、同社の株価は上昇しています。この記事では、キンダー・モルガンの最新の動向と今後の展望について詳しく解説します。
業績ハイライト
キンダー・モルガンは、7月18日に株価が一時4.2%上昇し、ここ2年以上で最高のパフォーマンスを記録しました。同社は四半期決算を発表しましたが、第2四半期の1株当たり利益は25セントで、アナリスト予想の26セントに1セント及びませんでした。売上高も36億ドルとなり予想の41億ドルを下回りました。これは、米国の天然ガス価格の低迷と生産者の削減による生産量の減少が影響しています。
天然ガス需要の増加予測
キンダー・モルガンは、メキシコへの輸出や液化天然ガス(LNG)の形での海外輸送の増加により、今後数年間で天然ガス需要が急増すると予想しています。特に、AIアプリケーションを稼動させるデータセンターからの電力需要の増加が期待されています。天然ガスは米国最大の発電源であり、データセンターの電力需要増加がビジネスチャンスを生み出しています。
電力需要の増加とその影響
キンダー・モルガンのリチャード・キンダー会長は、テキサス州などの電力網運営会社が2030年までにピーク需要が昨年比78%増加すると予測していることを指摘しています。再生可能エネルギーがその一部を満たすとされていますが、信頼性の高い天然ガスの需要も拡大する見込みです。S&Pグローバル・インサイツ社によれば、米国では133基の天然ガス発電所が新設される予定です。
データセンター関連のビジネスチャンス
同社は、日量50億立方フィート(約16億立方メートル)のデータセンター関連の天然ガス需要に対応するための交渉を進めています。米国では1日あたり約1,250億立方フィートの天然ガスが生産されていますが、その40%をキンダー・モルガンが輸送しています。同社はさらに南東部のパイプラインを拡張する30億ドルのプロジェクトを発表し、年間設備投資額も20億ドル程度に増加すると予想しています。
アナリストの見解
米国みずほ証券のアナリスト、ガブリエル・モリーン氏は、「キンダー・モルガンが米国の天然ガス・インフラストラクチャーの中心的な地位を占めており、そのインフラが負荷の増加を支えるために必要とされている」と評価しています。目標株価は22ドルで、18日の終値21ドルより5%高い水準ですが、5.6%という高い配当が同社の魅力です。
まとめ
キンダー・モルガンは、業績が予想を下回ったにもかかわらず、投資家からの強い支持を受け、株価が上昇しています。AIデータセンターの需要増加や天然ガスの輸出拡大により、今後の成長が期待されています。同社の取り組みと市場の動向を注視しながら、今後の投資戦略を考えることが重要です。