配当王ITWの魅力:61年間連続増配の実績と今後の展望

  • 2024年7月15日
  • 2024年7月15日
  • 配当株

配当株は、安定した受動的収入を得るための優れた投資手段です。その中でも特に注目すべきなのが「配当王」と呼ばれる企業です。配当王とは、50年以上にわたって毎年配当を増やし続けている企業を指します。本記事では、その中でも特に優れた企業、イリノイ・ツール・ワークス( ITW)について詳しく紹介します。

ITWのビジネス概要

イリノイ・ツール・ワークスは、複数の産業にまたがる多様な製品ポートフォリオを持つ世界的な産業コングロマリットです。同社は主に企業向けに製品を販売しており、その多くのブランドは一般消費者には馴染みがないかもしれません。しかし、ITWの製品は多くの大規模システムの中で重要な役割を果たしています。

セグメント別の売上高と営業利益率

以下は、ITWのセグメントの内訳と2023年度の売上高、および営業利益率です。

セグメント製品例2023年度売上高2023年 営業利益率
自動車ファスナー、内外装部品、パワートレイン部品32億ドル17%
試験・測定およびエレクトロニクスラボ用試験・組立機器、付属品、消耗品、アフターマーケット部品・サービス28億ドル24%
食品機器高度な食器洗浄機、サービス、調理・冷蔵・食品加工用機器26億ドル27%
建設関連製品ファスティングソリューション、補完的ファスナーおよび付属品、建設設計およびエンジニアリングソフトウェア20億ドル28%
溶接溶接機器、特殊消耗品、安全ソリューション19億ドル32%
ポリマー・流体エンジニアリング接着剤、シーラント、コーティング剤、潤滑剤、添加剤、自動車用ワイパーブレード、クリーナー18億ドル27%
特殊製品パッケージ商品用ジッパーと6本入りリング、医療機器製品、航空機地上支援機器、製品ブランディングと国家安全保障市場向けコーティングとメタライジング事業17億ドル27%
データソース:イリノイ・ツール・ワークス

ITWの特徴は、7つのセグメントのどれもが収益ミックスを支配していないことです。これにより、多角化が進んでおり、各部門の高い営業利益率が同社の強みとなっています。

成長への課題と見通し

ITWの主要な課題は、既存事業の伸び悩みです。前四半期の既存事業売上高は0.6%減少しましたが、経営陣は2024年の営業利益率を26%〜27%、2030年には30%を見込んでいます。

増配と自社株買い

ITWは、毎年夏に増配を発表し、昨年8月には1株当たり四半期1.40ドルへの7%増配を行いました。また、2024年には15億ドルの自社株買いを計画しており、これにより一株当たり利益(EPS)の増加が期待されます。

自社株買いは、発行済み株式数を減少させ、EPSを押し上げる効果があります。過去5年間で発行済み株式数を7.8%減少させ、純利益が24.2%増加しました。これによりEPSは36.1%上昇しました。

マージンの重要性

ITWのビジネスモデルは、非常に高い利益率を誇ります。同社の営業利益率は、2023年に25%を超え、他の産業コングロマリットを上回る水準です。ジェニュイン・パーツ(GPC)、パーカー・ハネフィン(PH)、WWグレインジャー(GWW)、エマソン・エレクトリック(EMR)などの競合他社よりも高いマージンを同社は確保しています。

最近の株価の動向

ITWの株価はつい1週間前まで年初来で12%近く下落していましたが、先週5日間で5.5%上昇し、2024年に入ってからの下落率は6%となりました。今年に入ってからの下落の要因で特に具体的に際立ったものはなく、市場や業界の流れの影響を受けたものと考えられます。短期的な下落は、長期的な成長トレンドの中での一時的な調整である可能性が高いと思われます。

まとめ:ITWは優良配当株

ITWは、61年間連続で増配を続けて配当王としての地位を確立しており、高い利益率、堅実な増配実績、大規模な自社株買いプログラムを持つ非常に効率的なビジネスです。多角化された製品ポートフォリオと高い営業利益率は、同社の強みとなっています。

ITWは、今後も安定した収入を期待できる優良配当株であり、長期的な投資先として非常に魅力的です。投資ポートフォリオに加えることで、より安定した収入を得る手助けをしてくれることが期待できます。

*過去記事はこちら 配当株

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