テスラ（TSLA）の第2四半期決算報告が今月末に予定されており、特に注目すべきは同社の人工知能（AI）戦略です。電気自動車（EV）メーカーであるテスラは、自律走行に関連した野心的なAIイニシアティブにより、技術革新の最前線に立っています。しかし、これが当面の利益にどう結びつくのかについては議論の余地があります。
テスラのAIインフラの進化
テスラは、2021年に初の自社製スーパーコンピューターを発表して以来、AI開発に対する強固なコミットメントを示しています。最近では、85,000台のエヌビディア（NVDA）製GPUを導入する計画も発表し、AIインフラの拡大に向けた取り組みを続けています。これにより、テスラのAI能力が飛躍的に向上することが期待されています。
自律走行とAIの役割
テスラが開発しているスーパーコンピューターは、自律走行用のディープ・ニューラル・ネットワークのトレーニングに特化しています。この取り組みは、テスラの車両群から収集される実世界のデータを活用し、より高度な自律走行技術を実現するためのものです。
Dojoスーパーコンピューターの導入
昨年夏、テスラは1万個のエヌビディア製GPUを搭載したAIクラスター「Dojo」を発表しました。このスーパーコンピューターは、テスラのAIトレーニング能力を大幅に強化し、自律走行技術の進化に寄与することが期待されています。
イーロン・マスクの大胆な発表
今年4月、テスラの第1四半期決算説明会で、CEOのイーロン・マスク氏は、同社のAIトレーニング能力が今後制約を受けることはないと宣言しました。2024年末までに85,000個のエヌビディア製GPUを導入する計画は、完全自動運転（FSD）トレーニングの中心となるもので、AI開発へのテスラのコミットメントを示すものです。
マスクの私企業へのGPU再配置
6月、マスクは、もともとテスラ向けに発注していた12,000個のエヌビディア製GPUを、彼の私企業であるX（旧Twitter）とxAIに振り向けたことを確認しました。この再配置は、一部の株主や業界オブザーバーに懸念を引き起こしましたが、マスクは、再配分は物流上の問題によるものであり、テスラのインフラがGPUをすぐに利用する準備ができていなかったためだと説明しました。
テスラの新しい車載音声アシスタント
テスラは、アマゾンのアレクサやChatGPTのボイスチャット機能に似た新しい車載音声アシスタントを開発中です。この音声アシスタントは、車両のシステムと高度に統合され、機械学習によって継続的に改善されることが期待されています。
デュアル・パス・アプローチ
テスラは、エヌビディア製GPUへの投資と特注のスーパーコンピューター「Dojo」の開発を組み合わせたデュアル・パス・アプローチを追求しています。これにより、単一の技術ソースに依存するリスクを軽減し、画期的な成功を収める可能性を高めています。
今後の見通し
今月末の第2四半期決算説明会で披露される、テスラのエヌビディア製GPUの展開とDojoの開発に関する最新情報は、投資家にとって極めて重要なものとなるでしょう。テスラのAI能力の評価と、自律走行分野での競争力維持における重要な指標となるはずです。
テスラのAI戦略とその進化を追い続けることで、同社の将来展望を理解し、適切な投資判断を下すことができます。テスラの第2四半期決算報告から目が離せません。
＊過去記事はこちら テスラ TSLA