ASMLホールディング(ASML)は、人工知能(AI)ブームの恩恵を受けている代表的な企業の一つです。同社は半導体製造に不可欠な露光装置を供給しており、その技術力と市場での優位な地位から多くの注目を集めています。この記事では、ASMLの最新の動向と今後の展望について詳しく解説します。
ASMLの市場での役割と主要顧客
ASMLは、TSMCこと台湾セミコンダクタ・マニュファクチャリング(TSM)、サムスン電子、インテル(INTC)など、世界有数の半導体メーカーに露光装置を供給しています。これらの企業は、先端技術を駆使したチップ製造を行っており、ASMLの装置はその製造プロセスにおいて欠かせない存在です。
株価の動向と決算発表に対する市場の期待
ASMLの米国預託証券(ADR)は今年42%上昇しており、AIチップ製造の増加に対する期待が反映されています。しかし、4月の第1四半期決算後には株価が下落し、7月17日に予定されている第2四半期決算報告に対する市場の懸念が浮上しています。
UBSのアナリスト、フランソワ・グザヴィエ・ブービニーズ氏は、「決算に向けたセンチメントは比較的楽観的なままだが、前四半期に期待を裏切った受注数については神経質になっている」と述べています。
TSMCとの関係と次世代技術への期待
ASMLで特に注目されているのは、TSMCとの関係です。TSMCは次世代スマートフォンの動力源として期待されている2ナノメートル・プロセッサーの製造を可能にする最新マシンの導入を検討しています。しかし、TSMCはコストが高いとしてASMLの最新のHigh NA EUV装置の発注に慎重な姿勢を見せています。
一方、インテルは既に3億5000万ユーロ以上のASMLの新型機を購入しており、先端技術の導入に積極的です。
未来への展望と株価予測
ASMLのCFOであるロジャー・ダッセン氏は、TSMCが今年中に最新鋭のチップ製造機を受け取ることに自信を示しています。ジェフリーズのアナリストも同様の見解を示しており、ASMLが第2四半期に50億ユーロ以上の受注を計上する可能性があるとしています。
UBSのブービニーズ氏も、「2024年および2025年については、TSMCの設備投資の上振れ、好調な中国需要の継続、メモリーサイクルの勢いによって、上振れリスクが高まる」と予測しています。同氏は、ASMLの株価について「買い」の格付けと1,050ユーロの目標株価を維持しています。
まとめ
ASMLホールディングは、AIブームと先端半導体技術の需要増加に支えられ、今後も成長が期待される企業です。特に、TSMCやインテルなどの大手半導体メーカーとの関係が強化されることで、更なる業績向上が見込まれます。7月17日の決算の内容に要注目です。
*過去記事「ASMLホールディング株価、予想を下回る受注で大幅下落」