エヌビディア(NVDA)は、同社のグラフィック・チップがAIモデルの訓練と推論に不可欠であることから、AI(人工知能)への投資を考えるなら、外せない銘柄です。最近の決算では、売上高が前年同期比で262%増、利益が629%増となり、その成長ぶりが際立っています。しかし、この成長が持続可能かどうかについては議論の余地があります。
エヌビディアの成長鈍化
エヌビディアの過去4回の決算報告を見ると、成長率は徐々に鈍化しています。具体的には、前四半期比の成長率は88%、34%、22%、18%と低下しています。この傾向は、エヌビディアの成長がピークに達しつつある可能性を示唆しています。
株価と市場価値の分析
エヌビディアのフォワード株価収益倍率(P/E比)は、昨年末の約25倍から現在の45倍まで上昇しています。また、ウォール街の予測に基づく2026年1月期の予想収益の20倍で取引されています。これにより、エヌビディアの時価総額は、来年の全世界の半導体売上高の業界予想の5倍近くに達しています。
株価売上高倍率の歴史的データ
バーンスタイン社のデータによれば、株価売上高倍率が15倍を超える銘柄は市場を下回る傾向があります。1970年から2020年までのデータでは、これらの銘柄は市場を18ポイント(3年間で)、28ポイント(5年間で)下回っていました。売上高の20倍以上で取引されている銘柄のリターンはさらに悪化しています。
エヌビディア以外のAI関連投資先
エヌビディアのような高いリスクを避けつつ、AIの成長から恩恵を受ける他の投資先を検討することも重要です。以下にいくつかの選択肢を紹介します。
マイクロンテクノロジー(MU)
AIデータセンターの広帯域メモリ需要が急増しており、マイクロンはこの需要を満たすことができる数少ない企業の一つです。
アリスタネットワークス(ANET)
データセンターの成長に伴い、ネットワーク・ハードウェアの需要も増加しています。Aristaは、この分野でのリーダー企業です。
コーニング(GLW)
AIサーバーラックのGPUを接続するための光ファイバーケーブルの需要が増加しており、コーニングはこの分野で強みを持っています。
アーム(ARM)/クアルコム(QCOM)/ソフトバンク
クアルコムのSnapdragon Xプロセッサは、AI対応PC市場でのシェア拡大を目指しています。アームのチップ設計に基づいており、ソフトバンクはアームの大部分を所有しています。
オラクル(ORCL)
オラクルはクラウド市場でシェアを拡大しており、OpenAIを顧客として契約しています。AIクラウドの相互運用性も強化しています。
台湾セミコンダクタ・マニュファクチャリング(TSM)
AIチップの製造に関しては、TSMCが主要な選択肢です。エヌビディア、AMD、インテルもTSMCを頼りにしています。
HPエンタープライズ(HPE)/デル(DELL)
両社ともエヌビディアベースのAIサーバーの需要が急増しています。将来的なAI PCの波からも利益を得る態勢を整えています。
マイクロソフト(MSFT)
OpenAIとの提携、Azureクラウドの需要改善、AIコパイロットの提供により、マイクロソフトは有利な立場にあります。
アドビ(ADBE)
アドビは、AIを活用したコンテンツ作成ソフトウェアから実質的な収益を上げ始めています。株価は下落していますが、今が買い時かもしれません。
まとめ
エヌビディアはAI分野でのリーダー企業であり、その成長は目覚ましいものがあります。しかし、成長鈍化の兆候や高い株価収益倍率を考慮すると、投資家は慎重な姿勢を取るべきかもしれません。エヌビディア以外にも、AIの成長から恩恵を受ける企業が多数存在します。多様な投資先を検討し、リスクを分散することが重要です。