エヌビディア（NVDA）の株価は、近年の急成長により多くの投資家の注目を集めています。そして今、個人投資家にとって一層魅力的な投資先となる可能性が高まっています。その鍵となるのが、エヌビディアが発表した1株を10株に分割するという大規模な株式分割です。この動きは、既存の株主や新規の投資家にとってどのような影響を与えるのでしょうか？
株式分割の詳細とその影響
エヌビディアは、2024年6月6日（木）現在の株主名簿に記載された株主に対して、金曜日の引け後に1株を10株に分割することを発表しました。これは、エヌビディアの株価が約1210ドルから約121ドルに低下することを意味します。分割後の10日の朝には、株主は現在の1株が10株となり、より手頃な価格で取引ができるようになります。
この分割は、エヌビディアがダウ工業株30種平均（DJIA）に加えられる可能性をもたらします。ダウは株価加重平均であるため、現在の高価格のままでは、エヌビディアがダウに加わると過度に影響を与える可能性があります。しかし、株式分割によりその影響は緩和され、エヌビディア株はダウの中位の構成銘柄の価格となります。
株価の動向と将来の見通し
エヌビディアの株価は、分割発表後に急騰し、5月22日の発表以来約30％上昇しています。この上昇は株式分割だけでなく、同社の好調な売上と利益、そして健全な見通しにも支えられています。また、エヌビディアは配当金を150％引き上げる計画も発表しており、投資家にとって一層魅力的な選択肢となっています。
株式分割後のパフォーマンス
歴史的に見ると、株式分割を行った企業は、分割後にアウトパフォームする傾向があります。BofA グローバル・リサーチのデータによると、株式分割を発表した企業の平均リターンは、分割発表後の12ヶ月間で約25％となっており、これはS&P 500の12％を大きく上回っています。これは、好調な業績モメンタムによって株価が上昇している企業が分割を発表する傾向があるためで、エヌビディアも例外ではありません。
また、株価が急騰したにもかかわらず、エヌビディアの株価は今年初めよりも低い評価額で取引されていることも注目すべき点です。現在のエヌビディアの株価収益率は、今年の業績予想に基づくと約45ですが、2月には60近いPERで取引されていました。株価が「割安」になったのは、業績予想がここ数カ月で急上昇したからです。
投資家への影響と戦略
エヌビディアの株式分割は、個人投資家にとってエントリーポイントを提供し、株式市場へのアクセスを容易にします。4桁の株価に怖気づいていた投資家にとって、分割後の株価は心理的にも購入しやすくなります。
また、エヌビディアの強気の見通しは、同社が引き続き平均を上回る利益と売上の増加を続けることを示唆しています。人工知能（AI）ブームの初期段階にある現在、エヌビディアはその分野でのリーダーシップを維持し続ける可能性があります。
まとめ
エヌビディアの株式分割は、同社の成長を一層加速させる可能性があります。投資家にとっては、分割後の株価の動向を注視しながら、長期的な成長ポテンシャルを見極めることが重要です。分割後のエヌビディアが引き続き好調を維持するかどうかは、同社の業績と市場動向にかかっています。しかし、過去の実績と現在の見通しを考慮すると、エヌビディアは引き続き注目すべき銘柄であることに異論を唱える投資家は少ないと思われます。
＊過去記事はこちら エヌビディアNVDA