デル・テクノロジーズ(DELL)が最近発表した2024年4月期決算では、市場予想を上回る結果を示しましたが、その裏にある重要な懸念も浮上しました。それは、AIサーバーの販売で採算が取れるかどうかという点です。本記事では、デルの最新決算報告と電話会議から見えてきたこの懸念について詳しく解説します。
デルの最新決算ハイライト
デルは5月30日に発表した4月期決算で、インフラ・サービス・グループ(ISG)の売上高が前年同期比22%増の92億ドルに達し、市場予想の90億ドルを上回りました。これにはサーバーとネットワークの売上高が42%増加したことが含まれています。しかし、同部門のマージンが予想を下回ったことが明らかになりました。
AIサーバーの急成長と利益率の課題
AIサーバーの出荷額は前四半期比で100%以上増加し、17億ドルに達しました。また、AIサーバーの受注残は前四半期の29億ドルから38億ドルに急増しました。この成長は印象的ですが、アナリストたちが期待したほどの強さではありませんでした。
みずほ証券のアナリスト、ジョーダン・クライン氏は、受注残が45億ドルから50億ドルに達するという「バイサイドの高値」に届かなかったと指摘しています。
バーンスタインのアナリスト、トニ・サコナギ氏は電話会議で、ISG事業の営業利益が横ばいだったことから、AIサーバーの営業利益率が事実上ゼロだったのではないかと質問しました。これに対し、デルのCFOであるイボンヌ・マクギル氏は、「マージン率は希薄化するが、マージンドルは増加する」と回答しました。
競争圧力と今後の見通し
デルは電話会議で、企業顧客からの競争圧力が高まっていることを強調しました。サコナギ氏はリサーチノートで、今四半期の営業利益率の低迷は「AIサーバーがほぼゼロ・マージンで販売されているという懸念」を再浮上させたと述べています。同氏は、最新四半期のAIサーバーの営業利益率は約5%と推定しています。
メリウス・リサーチのアナリスト、ベン・ライツェス氏も、売上総利益率がコンセンサス予想を下回ったことを指摘しています。しかし、同氏はデルの強気派であり、PC市場の転換期やAIサーバーの高騰、ストレージの持ち直しの可能性に期待を寄せています。
AIサーバー市場の将来展望
シースリー・エーアイ(AIのCEO、トム・シーベル氏は、長期的にはAIの価値の大半がアプリケーション・プロバイダーに行くと示唆しています。シーベル氏は、AIスタックの中でシリコンとインフラがコモディティ化する未来を予見しています。この観点から、デルがどのようにして利益を確保し、成長を続けるかが注目されます。
まとめ
デルのAIサーバー販売における採算性の懸念は、最新決算報告から浮き彫りになりました。短期的には利益率の低迷が課題となる一方で、長期的にはAIビジネスチャンスに期待が寄せられています。デルが競争激しい市場でどのように戦略を展開し、持続的な成長を実現するかが今後の焦点になりそうです。
*過去記事 デル・テクノロジーズ DELL