AI革命が牽引するパイプライン株の急成長:投資家必見のトレンド

  • 2024年5月22日
  • 2024年5月22日
  • BS余話

最近、エネルギー業界で最も好調なセクターの一つとして注目を集めているのが、パイプライン株です。石油生産会社や精製会社、大手企業のエクソン・モービル(XOM)をも上回るパフォーマンスを見せています。その背景には、人工知能(AI)の急速な発展と、AIプログラムを実行するデータセンターに電力を供給するための天然ガスの需要増加があると考えられています。

天然ガスパイプラインの需要増加

AIアプリケーションを処理するデータセンターの電力需要が急増しており、この電力を供給するためには大量の天然ガスが必要です。このガスを送るパイプラインは、需要増加の恩恵を受ける絶好の立場にあります。多くのアナリストや投資家は、こうしたトレンドがパイプライン株の長期的な上昇を支えると見込んでいます。

大手パイプライン企業の株価動向

例えば、キンダー・モルガン(KMI)の株価は5月21日まで13日連続で上昇し、今年に入って12%の上昇を見せています。同様に、ウィリアムズ(WMB)エンブリッジ(ENB)ワンオーケー(OKE)などのパイプラインオペレーターも好調なパフォーマンスを続けています。

パイプライン企業の決算説明会での動向

最新の決算説明会では、多くのパイプライン会社がAIデータセンターからの電力需要増加について言及しました。データ会社のアルファセンスによると、以前は「データセンター」という言葉を口にすることがほとんどなかったパイプライン幹部も、現在ではその重要性を認識しています。

天然ガスの発電と電力需要の見通し

米国では、天然ガスが最大の発電源であり、電力需要は10年以上の停滞を経て今後数年で伸びる見込みです。特にデータセンターからの需要が今後5年間で2倍から3倍に増加すると予想されており、これが送電網に負担をかけることになります。発電所にガスを送るためのパイプラインの需要も増加することが予想されます。

パイプライン企業への投資家の信頼回復

パンデミック時やエネルギー不況時に減配した企業もありましたが、各社はバランスシートを強化することで投資家の信頼を回復しています。例えば、キンダー・モルガンは配当利回り5.8%という高配当を実現しています。その運用形態は以前のようなマスター・リミテッド・パートナーシップ(MLP)ではなく、伝統的な株式会社としての運営に移行しました。この変更により、税務会計が複雑になるMLP形態を嫌う一部の投資家にとって、より魅力的な投資対象となっています。

今後の展望

トータス・キャピタル・アドバイザーズは、データセンターと天然ガス輸出によって、天然ガス需要は昨年の1日あたり約1040億立方フィートから、2030年までに少なくとも1300億立方フィートに増加すると予測しています。米国ではパイプラインの数が限られており、規制環境が非常に厳しいため、既存のパイプラインの価値がさらに高まると見られています。

このような背景から、パイプライン株は今後も上昇する余地が大きいと考えられます。特にAIデータセンターのトレンドは、天然ガスパイプラインに対するセンチメントを高める要因として注目されています。

*過去記事「キンダー・モルガン S&P500トップクラスの高配当が継続的に期待できるエネルギー株

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