2024年、人工知能(AI)技術の飛躍的進化に伴い、その波に乗り遅れることなく前進しようとする企業が注目を集めています。中でも、アップル(AAPL)は特に興味深いポジションにいます。iPhoneの製造者として知られるアップルは、AI技術を活用してはいますが、これまでその分野でのリーダーとしては積極的には前面に出てきませんでした。しかし、一部のアナリストは、この状況が近い将来に変わる可能性があると予測しています。
エバコアSIのアナリスト、アミト・ダリヤナニ氏は、アップルには独自の強みがあると指摘しています。それは、モバイルAIアプリケーションを消費者に提供するユニークな機会を持つことです。AI対応ツールがますます主流になる中、ダリヤナニ氏は「エッジ(端末側)でAIを実行することの価値」に着目しています。エッジコンピューティングは、データ処理をクラウドではなくデバイス上で行うことを意味します。これにより、低遅延、高セキュリティ、そして簡単かつ安価なアクセシビリティが実現されると言います。
この技術の進化は、消費者にとってより強力なオンデバイスのパワーとメモリを求める動きにつながり、アップルにとっては新たなデバイスアップグレードの波、「スーパーサイクル」を引き起こす可能性があります。さらに、アップルの経営陣は、AIに関する重要な発表を今年後半に行うとほのめかしており、市場は同社がAI分野でどのような動きを見せるかを注目しています。
ダリヤナニ氏によると、アップルのAI戦略は、iPhoneだけでなくMacやiPadのユーザー体験を大幅に向上させることになるとのことです。独自のチップとソフトウェアエコシステムの連携により、アップルはハードウェアに重要なアップデートを行うことができると述べています。
このような技術的進化は、消費者に新しい、より高価なデバイスへの投資を促す可能性があります。また、アップルの資本配分戦略も注目に値します。同社は純現金ポジションをゼロに減らすことを目指しており、ダリヤナニ氏はアップルがレバレッジを活用して自社株買いを続けるか、それを加速する可能性があると考えています。
投資家はアップルのハードウェアの成長鈍化を懸念していますが、ダリヤナニ氏は、アップルのサービス売上の加速が “過小評価されている “と指摘しています。同氏は、アップル株に対して「アウトパフォーム」の格付けと220ドルの目標株価を設定しています。
アップルの株価は今年に入り10%余り下落していますが、「この下落はやや過剰だと思う」とダリヤナニ氏は記しています。AI技術の進化とアップルの戦略がどのように結びつくか、その未来はまさに注目の的です。
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