テスラ株投資家必見!2023年10-K報告から読み解く4つのポイント

ポートフォリオに含まれる企業の年次報告書を熟読することは非常に重要です。これにより、決算ニュースリリースや電話会議で触れられない詳細情報を得ることができます。

1月29日、世界で最も時価総額の高い自動車会社であるテスラ(TSLA)が、米国証券取引委員会に年次報告書(10-Kフォーム)を提出しました。この報告書は、アナリストや投資家にとって、テスラの詳細な内部状況を確認し、その実態を探る絶好の機会となります。

以下に、報告書から見える特筆すべき4点をご紹介します。

1. リコールは投資家にとってあまり意味をなさない

2023年、テスラは保証修理に約12億ドルを費やしました。これは2022年の約8億ドルから50%増加していますが、特に懸念すべき点ではありません。なぜなら、テスラは成長を続け、発売した車両の数も増加しているからです。

2023年のテスラの保証費用は、5年間の保証が適用される車1台あたり250ドルとなり、2022年と同じコストです。これは、総自動車売上の約1.5%に相当し、業界水準と一致しています。

保証費用のデータは、米国道路交通安全局からのリコール通知が株価にあまり影響を与えない理由を示しています。テスラは2022年に380万台、2023年に260万台の車をリコールしましたが、保証費用や1台あたりの費用には影響がありませんでした。

2. 資本支出は100億ドル

テスラは新工場や設備に100億ドルを投資する計画を立てています。これは、1年間で初めて11桁の支出となる大きな節目ですが、テスラは成長を続けています。これは、ウォール街の2024年の売上予測の約8.9%に相当します。2023年、テスラは売上の9.2%を新工場や設備に投じました。

支出の水準自体は驚くべきものではありませんが、成長が以前よりも難しくなっていることを示しています。テスラは2023年と2024年に売上の約9%を資本支出に充て、2023年の売上高は約19%成長しましたが、2024年の売上高成長率についてウォール街は15%になると予想しています。

3. 在庫は注視すべき項目

テスラは2023年末に、原材料、途中品、部品、完成車を含む約140億ドルの「在庫」を抱えています。これは、2023年総売上の約14%に相当し、2022年の約16%から減少しています。

在庫を少なくすることは一般的にはプラスと見なされますが、テスラは原材料の在庫を減らすことで在庫を削減しました。完成品の在庫(主に車)は2023年に増加し、昨年末には車の販売日数が約19日分と、2022年末の約16日分から増加しました。

4. 広告費は依然としてゼロ

テスラはマーケティング費用を公開しておらず、「従来の広告を使わず、比較的低いマーケティングコストで販売を達成してきた」とのみ述べています。

それは事実ですが、マーケティングの専門家が指摘するように、価格設定はマーケティングの「3P」(製品、プロモーション、価格)の一つです。したがって、価格がマーケティングの一部であるならば、テスラは2023年に数十億ドルを費やしたことになります。

2024年のテスラ車の平均価格は、自動車売上をユニット納品で割った数値で約44,500ドルとなり、前年比で約8,500ドル減少しました。この8,500ドルを販売された180万台の車に掛けると、約150億ドルになります。

この150億ドルの数字が、一部の投資家やアナリストが、マーケティングに一定の投資する方が良いと考えている理由です。価格削減と広告の組み合わせによって、150億ドル未満で180万台を販売できたと彼らは考えていますが、それはあくまで理論上の話です。このマーケティングに関する議論は、2024年以降も続くと考えられます。

*過去記事はこちら テスラ TSLA

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