テスラ(TSLA)は、中国に続きドイツでも電気自動車「モデルY」の価格を引き下げることを発表しました。この動きは、市場におけるテスラの戦略的ポジショニングと株価にどのような影響をもたらすのでしょうか?
中国とドイツでのテスラの価格戦略
最近、テスラは中国でモデルYとモデル3の価格を3%から6%引き下げました。これは、モデルYクロスオーバー車のベースバージョンが約37,000ドルから約36,000ドルに、モデル3のベース車が36,500ドルから約34,500ドルになったことを意味します。
続いて、テスラはドイツでモデルYロングレンジとモデルYパフォーマンスの価格を5000ユーロ(約5400ドル)引き下げ、8%以上の値下げを行いました。後輪駆動バージョンも4%の割引となりました。
株価への影響
これらの値下げは、テスラの株価には必ずしも良いニュースではありません。中国での値下げ後、テスラの株価は3.7%下落しました。さらに、ドイツでの価格引き下げ発表後、テスラ株の1月17日の終値は2%安の215.55ドルとなりました。
利益率への懸念
この値下げは、利益率の低下を意味する可能性があります。テスラはライバルとの競争力を維持し、金利上昇に伴う自動車ローンのコスト増を補うため、価格を引き下げています。2023年の営業利益率は10%を下回る見込みです。
マーケットシェアの防衛
中国は新車と新型EVの世界最大の市場であり、激しい競争が繰り広げられています。テスラは、市場シェアを守るためにマージンを犠牲にしている可能性があります。ドイツにおける主な競争相手はフォルクスワーゲン(VOW)です。
将来の見通し
フューチャー・ファンド・アクティブETFのゲイリー・ブラック氏は、今回の値下げで失われる1株当たり利益が15セントに過ぎないと見ています。同氏は2024年のテスラの利益を1株当たり3.75ドルと予想しています。
まとめ
テスラの最近の価格戦略は、競争の激しい市場でのプレゼンスを維持するための戦術的な動きと思われますが、株価と利益率に短期的な影響を及ぼす可能性があります。テスラがこの戦略をどのように進め、長期的な成長につなげるかが注目されます。
*過去記事はこちら テスラ TSLA