発行済み株式数に対する空売り株式の比率が高い企業は、空売り筋から今後株価が下落する可能性が高いと見られていることを示しています。
ショートスクイーズの可能性
しかし、こうした空売り比率の高い銘柄は、空売り筋が損失を避けるためにポジションを解消する「ショートスクイーズ」によって株価が急騰する可能性があります。S3パートナーズのデータによると、空売り筋は2022年に約1780億ドルの損失を出しています。ゲームストップやAMCのような「ミーム株」の事例は、この現象の典型的な例です。
空売り比率の高い銘柄株への投資
空売り比率が高い銘柄が、必ずしもリスクの高い投資先とは限りません。例えば、電気自動車のフィスカー(FSR)の株価は今年大きく下落しましたが、アナリストは来年には現在の2倍以上になると予想しています。このように、アナリストの強気な見方と空売り筋の見方が分かれる場合、投資の機会が生まれることもあります。
アナリストの強気な見通しにもかかわらず大きく空売りされている銘柄
投資情報誌バロンズは、空売りの多い銘柄のうち、コンセンサス目標株価(少なくとも10人のアナリストの平均予想)が現在の水準より10%以上高い銘柄に注目しリストアップしました。
会社名 | ティッカー | セクター | 時価総額(百万ドル) | 浮動株数に占める空売り比率(%) | 年初来の上昇率(%) | 目標株価の上昇率 (%) |
フィスカー | FSR | コンシューマー | 508 | 45 | -80 | 159 |
フロンティア・グループ | ULCC | 工業 | 1,216 | 36 | -46 | 11 |
サンノヴァ・エナジー・インターナショナル | NOVA | 国際公益事業 | 1,965 | 34 | -11 | 25 |
チャージポイント | CHPT | コンシューマー | 1,037 | 32 | -74 | 41 |
アロジーン・セラピューティクス | ALLO | ヘルスケア | 538 | 32 | -49 | 300 |
プラグ・パワー | PLUG | 産業用機器 | 2,852 | 29 | -62 | 82 |
ステム | STEM | インダストリー | 628 | 28 | -55 | 60 |
ルミナー・テクノロジーズ | LAZR | コンシューマー | 1,467 | 27 | -26 | 133 |
ルシッド・グループ | LCID | コンシューマー | 9,890 | 27 | -37 | 24 |
コムストック・リソーシズ | CRK | エネルギー | 2,528 | 27 | -34 | 32 |
低コスト航空会社のフロンティア・グループ・ホールディングスや太陽光パネル会社のサンノヴァ・エナジー・インターナショナル、EV充電ステーション運営会社のチャージポイントなどがリストには入っています。これらの株式への投資は、勇気のある投資家にとって大胆な賭けとなる可能性があります。
まとめ
気の弱い人には向かないかもしれませんが、空売り比率の高い銘柄には、大きなリターンの可能性が秘められています。市場の動向、アナリストの予測、そして自身のリスク許容度を慎重に評価した上で、賢明な投資判断を下すことが大切です。