アドビの四半期決算分析:期待を下回るガイダンスの影響と今後の展望

  • 2023年12月14日
  • 2023年12月14日
  • BS余話

クリエイティブ・マーケティング・ソフトウェアの大手、アドビ(ADBE)の株価が下落しています。12月13日のマーケット終了後に発表した四半期決算の内容が市場の期待を下回りました。特に、2月の四半期終了時の売上見通しと2024年11月期の通期売上ガイダンスが注目されています。

アドビは、AIを活用したコンテンツ作成ツールの導入が順調に進んでいると発表しましたが、ウォール街は短期間における売上の大幅な増加を期待していたようです。アドビの最高財務責任者(CFO)のダン・ダーン氏は、バロンズ紙とのインタビューで、同社は「驚異的な1年の後に、信じられないほどの勢いを持続している」と述べ、今年も二桁の売上成長が見込まれることを強調しました。

12月1日に終了した第4四半期の売上高は前年同期比12%増の50億5000万ドルで、ウォール街の予想とほぼ一致しています。これは、アドビにとって売上が50億ドルを超えた初めての四半期でした。調整後の1株当たり利益は4.27ドルで、会社予想の4.10~4.15ドル、ウォール街のコンセンサス予想4.13ドル上回りました。

しかし、次の四半期の売上見込みは51億ドル〜51億5000万ドルで、市場予想の51億6000万ドルをわずかに下回る見込みです。また、2024年度通期の売上高見通しは213億ドル〜215億ドルで、市場予想の217億ドルを下回りました。

アドビはまた、フィグマ(Figma)の買収に関して、欧州委員会と英国の規制当局からの競争上の懸念に「強く」同意しないと述べています。これは、デザイン業界におけるアドビの影響力拡大に関する重要な動きです。

最高経営責任者(CEO)のシャンタヌ・ナラヤン氏は、AIツールの「驚異的な利用」を強調し、「大規模な技術シフトごとに新しい製品やソリューションの提供機会がある」と述べています。これは、アドビが今後さらに進化していく可能性を示唆しています。

まとめ:
決算発表後の時間外取引でアドビ株は5%近く下落していますが、これは短期的な売上見通しと通期ガイダンスが市場の期待を下回ったことが主な原因です。しかし、同社は引き続きAI技術の導入に注力し、デザイン業界における革新を続けています。投資家としては、これらの短期的な変動を超えた、アドビの長期的なビジョンと成長戦略に注目することが重要です。

*過去記事「Q3決算発表後に下落のアドビ:業界アナリストが見る未来の展望」

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