インテル株10%下落:アナリスト達が語る事業の課題と可能性

  • 2023年9月21日
  • 2023年9月21日
  • BS余話

今週、サンノゼで開催された顧客向けイベント「インテル・イノベーション」でAI半導体の進展に関する一連の発表を行なって注目を浴びたインテル(INTC)ですが、同社の思惑とは違って市場の反応は芳しいものではありませんでした。株価は逆に最近5日間で10.29%も下落してしまいました。

アナリストたちは、インテルが人工知能でエヌビディア(NVDA)に対抗しつつ、CPU事業を守り、半導体製造事業を同時に立ち上げる能力についてまだ懐疑的です。

オッペンハイマー

オッペンハイマーのアナリスト、リック・シェーファー氏は、インテルの2024年の売上総利益率は、同社の長期目標である60%に対し、40%台前半から半ばになると見ています。オッペンハイマーは、インテル株の格付けを「パフォーム」とし、目標株価は設定していません。

我々は、インテルがプロセスのリーダーシップを取り戻し、ファウンドリービジネスを育成しようとする努力は認めるが、複数年にわたるターンアラウンドの努力が実を結ぶまで、同社はまだプルーフイットモードにあると考えるわれわれは、インテル株には手を出さない。

と同氏は厳しい見方をしています。

ウェドブッシュ

ウェドブッシュのマット・ブライソン氏は、インテル幹部の粗利益率に関するコメントが値下がりの原因だと指摘。ただ、同社が一連の新製品とバランスを取っているため、保守的な見通しは適切であると考えています。ブライソン氏はインテル株の格付けを「中立」、目標株価を35ドルとしています。

同氏は現状を以下のように分析しています。

インテルにはいくつかの課題がある。データセンター市場におけるエヌビディアのAIの進展に直面し、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)に対抗するために半導体製造を拡大したいと考えており、中核となるCPU事業を守らなければならない。

UBS

製造ロードマップの進展については楽観的な見方を維持しているが、(インテルの)データセンターの位置づけについてはまだ問題が多すぎる。

とUBSのアナリスト、ティモシー・アーキュリ氏は書いています。

インテルは自社のAIデータセンター・ハードウェアの潜在的な受注に10億ドル以上のパイプラインがあると宣伝していますが、投資家はそれが意味のある収入に結びつくには2025年まで待つ必要があるかもしれないと同氏は見ています。

この年は、インテルがFalcon Shoresチップの発売を計画する年であり、このチップは、高性能コンピューティングとAIをサポートすることが期待される主要な次世代グラフィックス・プロセッシング・ユニットです。

アーキュリ氏は、インテル株の「中立」の格付けと目標株価38ドルを維持しました。

レイモンド・ジェームズ

レイモンド・ジェームズのスリニ・パジュリ氏は、粗利率の鈍化は循環的な要因によるもので、長期的に見れば目標を達成することができるとしています。同氏は予想を据え置くとともに、「アウトパフォーム」の格付けを再度表明しています。

*過去記事「インテルが革命的なAI対応PCを推進:次世代テクノロジーへの大ステップ

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