コネクテッドTV(CTV)の普及が急速に広がっています。CTVは、テレビ視聴者が自分の好きなストリーミングサービスに接続するためのデバイスとして人気を博しています。そのカテゴリは広範で、ロクやアマゾンのFire TV、アルファベットのChromecast、Apple TVなどのスマートTV、セットトップボックス、ドングルが含まれます。また、視聴者はビデオゲームシステムやブルーレイプレーヤーを使って、好みのストリーミングプラットフォームにアクセスしています。
昨年の消費者調査によると、米国のテレビ視聴世帯の87%が少なくとも一つのインターネット接続テレビデバイスを持っているという結果が出ており、2020年の80%から上昇しています。これらのデバイスは放置されているわけではなく、所有する世帯の成人の46%が毎日接続テレビデバイスを介してビデオを視聴しているというデータも見つかっており、これも2020年の40%から増加しています。
CTVの普及と広告市場への影響
CTVの普及は、広告市場にも大きな影響を与えています。特に、動画広告インプレッションの大半はCTVから生み出されています。具体的には、広告・分析会社のInnovidが発表したデータによれば、CTVは昨年の広告動画インプレッションの51%を占めており、前年の40%から増加しています。
このレポートはCTV、モバイル、デスクトップデバイスを通じて3300億以上のビデオ広告インプレッションを分析し、CTVがモバイルとデスクトップの広告インプレッションを合わせた数を上回っていることを発見しました。モバイルとデスクトップはそれぞれシェアを失い、この傾向は2019年から続いています。
さらに、レポートでは、視聴者が製品の詳細を調べたり購入したりすることができるインタラクティブな「ショッパブル」広告が増えており、標準の広告を上回るパフォーマンスを発揮していることが分かりました。
恩恵を受けるトレードデスクとロク
CTVデバイスの普及は広告市場に大きな影響を与え、トレードデスク(TTD )やロク(ROKU)のような企業にとっては大きなチャンスを生み出しています。
トレードデスクは長い間、CTVが未来の波であると考え、そのビジネスをそれに合わせて位置づけてきました。この広告技術の先駆者である同社は、高速コンピュータと先進的なAIを使用してデジタル広告キャンペーンを管理する自己サービスプラットフォームを開発し、広告主とターゲット市場をつなげています。
トレードデスクのCEO、ジェフ・グリーン氏は、「CTVを含むビデオは、米国だけでなく、欧州・中東・アフリカ地域(EMEA)でも、我々のビジネスで最も急成長しているチャンネルだ」と述べています。
ロクもまたCTVを支持し続け、同社のストリーミングプラットフォームへのアクセスを容易にしています。同社の第1四半期決算発表の電話会議で、新社長のチャーリー・コリアー氏は、「ますます多くのクライアントが責任ある接続テレビ広告に資金を振り向けている」と述べ、伝統的なテレビの視聴時間が前年比10%減少した一方で、ロクのストリーミング時間は20%増加したと指摘しています。
まとめ:CTVの普及とその影響
CTVの普及は止まるところを知らず、広告業界にも大きな影響を及ぼしています。広告主は従来のテレビからストリーミングに広告費をシフトさせており、この流れはまだ始まったばかりです。
トレードデスクやロクの株価は昨年大きく下落しましたが、CTVの普及と広告付きストリーミングの採用が進む中、両社の長期的な見通しは明るいものと言えます。
*過去記事はこちら トレードデスク TTD ロク ROKU