5Gワイヤレスチップやモバイルプロセッサーの分野で注目を浴びているクアルコム(QCOM)が、AI(人工知能)の進歩とクラウドコンピューティングの需要増大に対応するための取り組みについて、今回は詳しく解説します。
クアルコムとAIの新たな関係性
TDカウエンのマシュー・ラムゼー氏による最新の分析では、クアルコムがAIとの連携を強化することで、株式市場での地位をさらに向上させる可能性があるとの見解が示されています。ラムゼー氏はCEOのクリスティアーノ・アモン氏との会談後、クアルコムの株価に対して「アウトパフォーム」の格付けと、目標株価135ドルを再確認しました。
生成AIの進歩とその影響
最先端技術の一つである生成AIは、その進歩に伴い注目を集めています。この技術は、テキスト、画像、動画を解析し、新たなコンテンツを生成する能力を持つため、大きな期待が寄せられています。オープンAIによるChatGPTのリリースにより、この技術への関心が高まっています。
言語モデルを使用して、人間のような応答や最善の推測を生成することが可能なこの技術は、スマートフォンの予測入力機能が進化したようなものです。
クアルコムの戦略と取り組み
クアルコムは、このAI処理の一部をスマートフォンなどのデバイスで行うことを検討しています。これにより、パフォーマンスの向上と応答時間の短縮が期待できます。また、クアルコムのチップセットは、開発者が機械学習アプリケーションを作成する際に役立つAIソフトウェアツールを提供します。
クアルコムのビジネスと市場の課題
一方で、クアルコムのビジネスに対する懸念もないわけではありません。最近のスマートフォン需要の減少と厳しい経済環境の影響で、クアルコムは現在の四半期の売上見通しを下方修正しています。
しかし、ラムゼー氏は、「マクロ経済と中国経済の弱体化による携帯機器市場の混乱を受けても、クアルコムは魅力的なバリュエーションにより、どのような回復にも対応できる位置にある」と述べています。
*過去記事「エッジAI:モバイルデバイス、自動車、IoTの革新的な未来」