誰もが知っている巨大なオンラインリテール業界のリーダー、アマゾン(AMZN)だけにアナリストによる評価もさまざまです。「アマゾンに透明性とスリム化を求める声:バーンスタインのアナリストによる視点」で紹介したアクティビスト的な意見とは違った視点を提供するのが、ウェルズ・ファーゴのアナリスト、ケン・ガウレルスキー氏です。
アマゾンが効率化に成功し始めている
ガウレルスキー氏は、アマゾンが北米の小売事業で利益改善の可能性を秘めていると指摘しています。アマゾンの最近のコメントで進展の兆しがすでに見られるにもかかわらず、投資家たちはこれを見過ごしていると同氏は述べています。
アンディ・ジャシー最高経営責任者が最近行った発言は、その例として挙げられます。同氏は、フルフィルメントセンターから顧客までの移動距離が約15%減少し、荷物の取り扱い頻度(タッチ数)が12%減少していると述べました。
小売マージンの改善
アマゾンの小売マージンは2025年までに2018年の水準に戻るとガウレルスキー氏は見ており、ウォール街が思っているよりも早い回復と予測しています。この視点に基づき、同氏はアマゾン株に「オーバーウエート」の格付けと159ドルの目標株価を設定しました。
アマゾンが地域型フルフィルメントセンターに移行することで、年間64億5000万ドルもの節約が可能と同氏は指摘します。「フルフィルメントセンターに幅広い在庫を置くことで、FCから顧客宅へ直送する商品の量を減らすことができる」と同氏は述べています。
広告ビジネスとAWSの成長
さらに、ガウレルスキー氏はアマゾンが広告ビジネスを拡大し、経済的な利益を得るのに適した位置にいると見ています。
同氏の予想では、広告がアマゾンの2023年の北米セグメントの売上の8%を占め、2018年の2倍になる可能性があるとしています。
また、最近成長が鈍化していたアマゾンのクラウドコンピューティング事業、AWSについても、ガウレルスキー氏は「AWSは第3四半期に底を打つと見ている」と述べ、「2023年以降はより健全な成長率に再加速する」と予測しています。
総括
ウォール街がアマゾンの真の効率化能力を見過ごしているとのガウレルスキー氏の分析は、アマゾンの投資家やウォッチャーにとって新たな視点を提供します。ウォール街が見落としている可能性のあるアマゾンの真の価値と効率性を理解することは、同社の将来性を評価する際の重要な要素となります。
*過去記事はこちら アマゾン AMZN