アマゾンに透明性とスリム化を求める声:バーンスタインのアナリストによる視点

アマゾン(AMZN)の運営と財務情報の透明性について見直しを求める声が上がっています。バーンスタインのアナリスト、マーク・シュムリック氏が提唱するこれらの見解は、最近のクライアント向けメモ “A Sell-Sider Goes Activist” に詳述されています。

プロジェクト・カイパーやヘルスケア事業の見直し

シュムリック氏は、アマゾンのヘルスケア事業や衛星を使ったインターネットサービスを提供するプロジェクト・カイパーについて、「売却、外部資金調達、支出削減」すべきだと提案しています。これらの事業分野は、アマゾンの組織体制を複雑にし、投資家にとって財務情報の理解を難しくしているというのが同氏の意見です。

また、シュムリック氏は、アマゾンが国際市場から撤退すべきだとも主張しています。特にブラジル、メキシコ、シンガポールなどの市場において、アマゾンは主要ライバルであるメルカドリブレ(MELI)に競争力で後れをとっていると指摘しています。

実店舗の食料品事業への疑問

シュムリック氏は、アマゾンが実店舗の食料品事業を拡大しようとしていることにも疑問を呈しています。特にホールフーズの売上については、2017年の買収以来、ほとんど伸びていないと指摘しています。

同氏は、アマゾンは新たな手法を模索するのではなく、アルバートソンズを買収したクローガー(KR)が実質的には両社を分離して運営しているような既存のコンセプトを取り入れるべきだと提言しています。

財務報告の透明性

シュムリック氏はまた、アルファベット(GOOGL)のように、アマゾンもその新規事業の決算を詳細に公開し、投資家が同社の核となる小売事業の収益性をよりよく理解できるようにすべきだと主張しています。

未来への展望

シュムリック氏は、アマゾンには行うべき自助努力があり、その結果として株価が180~200ドルの範囲に上昇する可能性があると述べています。同氏は現在、アマゾンの格付けを「アウトパフォーム」、目標株価を140ドルと設定しています。

株価は2021年のピークである186ドルを下回っています。アマゾンの今年の純利益160億ドルという予測は、5000億ドル以上という予測売上高に比べれば控えめです。投資家が現在の収益性を会社の実力以下と見ていることもあり、株価は2023年の推定一株利益の80倍という割高なバリュエーションで取引されています。

シュムリック氏が行なった分析は、投資家や株式市場の専門家だけでなく、アマゾンの経営戦略や事業展開について理解しようとする一般の消費者にとっても有用な情報となります。アマゾンがこれらの提案をどのように取り入れ、また反論するかが今後の注目点となります。

*過去記事はこちら アマゾン AMZN

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