地政学的リスクを回避、エヌビディアがインテルとの製造提携を視野に

エヌビディア(NVDA)のCEO、ジェンスン・フアン氏の最新コメントが、半導体業界を駆け巡る話題となっています。

フアン氏は、台湾での記者会見で、米中間の緊張が高まる中で、チップメーカーとしてサプライヤーベースの多様化を検討しているかと質問されました。同氏はエヌビディアがサムスンと共に台湾積体電路製造(TSMC)と密接かつ長期的な関係にある一方で、インテル(INTC)との製造関係にオープンであるとコメント。TSMCからインテルへの一部移行の可能性があることを示唆する発言と受け止められました。

この出来事は、AI向け半導体で世界シェア8割を占めるエヌビディアと、その製造パートナーとしての役割を求めているインテルとの間の新たな連携を予見させています。

エヌビディアとインテルの製造提携、それぞれにとっての利点

米国を中心にAI分野で広く使われる画像処理半導体(GPU)の生産を担当してきたエヌビディアとインテルが製造提携することは、双方にとって有益なシナリオを描き出します。インテルは、その半導体製造受託事業の歴史がまだ新しく、エヌビディアのような米国の主要顧客を獲得することが切実に必要です。一方のエヌビディアは、米中間の地政学的緊張が悪化した場合に備えてサプライヤーの多様性を確保するとともに、TSMCの価格設定を抑制する別の選択肢を手にすることができます。

インテルの半導体製造事業、地理的安全性が鍵

インテルのマーク・ガードナー氏は、同社のファウンドリーサービスは顧客にとって魅力的であると述べ、その理由としてインテルが提供する地理的に安全なサプライチェーンを挙げています。インテルの半導体製造工場と半導体の組み立て/テスト/パッケージング拠点が世界中のさまざまな場所に位置している一方で、TSMCの半導体製造工場の多くが台湾にあることをガードナー氏は指摘しています。

インテルのファウンドリーサービス、市場シェアの拡大を目指す

市場調査会社TrendForceの調査によると、半導体受託製造事業におけるTSMCの市場シェアは約59%で、次いでサムスンが16%のシェアを占めています。しかし、インテルのファウンドリーサービスは外部顧客へのサービス提供を強化し始めたばかりで、そのシェアはまだごくわずかです。

インテルのCEOであるパット・ゲルシンガー氏は、2年前に入社して以来、積極的な再建戦略を実施し、同社のファウンドリー事業の拡大に注力してきました。ゲルシンガー氏は、同社が2025年までに半導体製造技術のリーダーシップを取り戻すペースにあり、4年間で半導体プロセス技術に5つの進歩をもたらす予定であると繰り返し述べています。

エヌビディアとインテル、新たな時代への扉が開く

エヌビディアのCEOのコメントは、ゲルシンガー氏の半導体業界へのカムバック計画にとって、最高のニュースかもしれません。この新たな連携の可能性は、半導体業界の未来の形を大きく左右する可能性があります。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA 「インテル 最悪期は去ったとアナリストが格上げ

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