5月10日にグーグルは新しいAI機能の数々を発表しました。これにより、アルファベット（GOOGL）の株主とウォール街のアナリストは、マイクロソフト（MSFT）のBingに対する検索エンジンの優位性を維持することができると安心感を抱いたようです。
オッペンハイマーのアナリスト、ジェイソン・ヘルフスタイン氏は、リサーチノートで「今回の発表は、マイクロソフト／オープンAIに対抗する上でのAIイノベーションの欠如に対する投資家の短期的な懸念をほぼ和らげた」と述べています。
同氏は、AIチャットボットがGoogle検索のボリュームにほとんど影響を及ぼしていないとも述べています。市場調査会社Statcounterのデータによれば、4月のGoogleの市場シェアは約93％、Bingは約3％で、昨年とほとんど変わらないとのことです。
同氏はアルファベット株のアウトパフォーム評価を維持し、目標株価を145ドルとしています。アルファベット株は11日の市場で4％上昇し、終値は116.57ドルとなっています。
Googleが次世代大規模言語モデルPaLM 2を25の製品に搭載し、マイクロソフトが支援するOpenAIのGPT-4モデルに対抗すると発表したことにより、AIの戦いは検索エンジンの枠を大きく超える可能性があります。
ウェドブッシュのダン・アイブス氏は、「マイクロソフトはChatGPTへの画期的な初期投資により、AI分野でリードを取っていたが、現在はGoogleが一気に追いついた状態にあると我々は確信している」と述べています。
特に注目されるのは、アルファベットが現在3位につけているクラウドコンピューティングサービスにおけるGoogleのAIの統合です。業界2位のマイクロソフトは、自社のAI開発によって、クラウド事業で首位のアマゾン・ドット・コム（AMZN）のアマゾン・ウェブ・サービスに挑戦できることを期待しています。
マッコーリーリサーチのアナリストも、アルファベットがクラウドコンピューティング分野でマイクロソフトとの競争に対応しようとしていると見ています。
3月下旬に発表されたGoogleとソフトウェア開発プラットフォームReplitとの戦略的パートナーシップは、マイクソフトがGitHubプラットフォームにAIコーディングツールを統合したことへの対抗措置と見なされています。AIツールがコーディングの生産性を向上させるという事実は、現時点でこの技術の最も顕著な使用例の一つとなっています。
＊過去記事 アルファベット GOOGL マイクロソフト MSFT