5月4日に好決算を発表して翌日の市場の牽引役となったアップル(AAPL)。アナリストたちからは同社を評価する声があがっています。
「数千ドルのスマートフォンは、厳しい経済状況下でも必要不可欠な買い物であることが判明した」と述べたエバコアISIのアナリスト、Amit Daryanani氏は、アップルの最新四半期決算がiPhoneの消費者の定番としての性質を示しているとし、投資家はiPhoneを技術一任製品として見ているかもしれないと述べています。
クアルコム(QCOM)からスマートフォンの状況について慎重なシグナルが出ていたため、ウォール街は、アップルの決算報告に向けて消費者の電子機器への支出状況について神経質になっていました。しかし、アップルは予想に反してiPhone部門で成長を遂げ、投資家を驚かせました。
Daryanani氏は、iPhone事業が安定し、緩やかに加速していくと予想し、格付けを「アウトパフォーム」、目標株価を190ドルに設定しています。
ローゼンブラットのバートン・クロケット氏も、「驚くほど耐久性のあるiPhone」を評価しています。
IDCの調査によると、出荷台数が2%減少しましたが、iPhoneの売上は高価格帯の端末が増えたことにより増加しました。クロケット氏は、昨年末に製品の供給が十分にできなかったにもかかわらず、多くの人がキャンセルせずに待っていたと、iPhoneの人気を評価し、格付けを「買い」として目標株価を173ドルから198ドルに引き上げています。
ジェフリーズのアナリスト、Andrew Uerkwitz氏は、アップルが消費者層と共鳴し続けていることが際立っていると述べています。「アップルのキャッシュ創出能力、製品の回復力、そして著しく高い消費者心理ほど確実なものは、市場にはほとんどない」と評価する同氏は、格付けを「買い」として目標株価を195ドルとしています。
アナリストは、アップルのビジネスが「弾力的」であると評価しており、キーバンク・キャピタル・マーケッツのアナリスト、ブランドン・ニスペル氏も同様の見解を示しています。
ニスペル氏は、「すべての地域、すべての製品カテゴリーでアクティブなデバイスのインストールベースが記録される中、AAPLはこれまで以上にマクロに強いと考えられるため、投資家が四半期決算のノイズは気にしない状況は続くと考えている」と述べ、「アウトパフォーム」の格付けを維持し、目標株価を177ドルから180ドルに引き上げています。
しかし、懸念材料もいくつかあります。アップルは、昨年末の供給圧力の中で蓄積されたiPhoneへの需要から恩恵を受けていると考えられますが、経営陣のコメントでは、今後の売上が減少する可能性が示唆されています。
一方、会社全体の売上高は3%の減少にとどまったものの、iPadとMacの売上高は最新四半期に2桁の減少率を記録し、経営陣は両カテゴリーへのマクロ経済的影響を指摘しています。
長期的には、今後のイノベーションと成長についての疑問があります。サードブリッジのスコット・ケスラー氏は、アップルが2桁の売上成長を達成できるのかと疑問を投げかけています。同氏は、アルファベット(GOOGL)やメタ・プラットフォームズ(META)などが多額の研究開発費を費やしているのと比べて、アップルはそれほど多くの費用をかけていないことを指摘しています。
*過去記事はこちら アップル AAPL