デックスコム 急成長中のヘルスケア銘柄への投資は今がチャンス

デックスコム(DXCM)の株価は、2022年6月に付けた直近の底値である67ドルの価格から大きく値を上げ3月3日の終値で123ドル弱と84%も上昇しています。同社は血糖値を追跡する連続グルコース監視(CGM)装置を開発・販売しており、その技術の継続的な採用や新製品の発売などの追い風が吹いていることが株価を押し上げています。

CGMは、糖尿病患者が血糖値を記録するための、より良い選択肢を提供します。糖尿病患者は、血液サンプル中の糖の量を測定するグルコメーターと呼ばれる装置で血液を採取しなければならないことがありますが、この方法には痛みを伴うという欠点とさらにもう一つ大きな欠点があります。それは、血糖値を測定した特定の時点の血糖値しか患者に伝えられないことです。

そうした欠点を克服するためにデックコムのG6のようなCGMオプションが登場しました。G6システムは、皮膚の下に小さなセンサーを挿入し、5分ごとに1回血糖値を測定します。1時間あたり12回、1日あたり288回です。これだけのデータを得ることで、患者は糖尿病と共存するための日々の課題をよりよく解決することができます。また、G6は、血糖値が所定の閾値を上回ったり下回ったりした場合に、対応する機器にアラートを送信します。

また、CGM製品は、1回買えば終わりというものではありません。デックスコムの製品はセンサーやトランスミッターを搭載しており、定期的な交換が必要です。そのため、デックスコムの売上と収益は、定期的に新しい製品が送られてくるサブスクリプション型ビジネスが中心となっています。例えば、デックコムの主力CGM製品の最新版であるG7は、装着期間が10日となっています。

2022年通年のデックスコムの売上高は、2021年から19%増の30億ドルとなりました。この数字は、米国での16%の売上成長によってもたらされたものですが、その一方で2022年の海外売上は28%増と急増しています。研究開発費の一部削減と業務の効率化により、年間の非GAAPベースの純利益は60%近く上昇し、3億4100万ドルになりました。

CGM導入の課題は保険適用範囲の拡大であり、デックスコムはその実現に向けて積極的に働きかけています。2022年の決算説明会で、CEOのケビン・セイヤー氏は、予想されるメディケアの裁定と、より広範な商業的適用についてまもなく実行される可能性が高いことについて言及しています。

2022年末までに、デックスコムはユーザーベースを170万人に拡大し、1年間で45万人増やしました。糖尿病と診断されている人は、米国だけでも3,700万人、世界ではその約15倍いると推定されています。そして、2045年には全世界で7億8,000万人以上の糖尿病患者が存在すると予測されています。

デックスコムは、G6よりもセンサーが小型化されたCGMシステム「G7」を発表、昨年から欧州で発売を開始し、今年中には米国でも発売する予定です。また、シンプルさと安価が売りのデックスコム・ワンという新製品の販売も開始しており、これらの新しいデバイスは、デックスコムが新しいユーザーを獲得し続けるのに役立つものと期待されています。

もちろん良いことばかりではありません。デックスコムにもリスクがあります。そのひとつは、バリュエーションの問題です。現在、同社のフォワードPERは106で、S&P500のフォワードPERが20に過ぎないことと比べると非常に割高となっています。こうした評価は、同社の将来性と、過去5年間、売上高が年平均42.5%増と非常に急速に伸びてきた事実を反映していると思われますが、ベータ値が1.1となっていることが示すように、短期的にはボラティリティが高く、株価が大きく変動する可能性があります。

もうひとつのリスクは、患者の血糖値を非侵襲的に測定する方法を開発しているアップル(AAPL)との競争が激化する可能性があることです。アップルは最終的にこの機能をApple Watchのようなデバイスに統合する可能性があり、最近の報道によると、アップルはこの分野での研究の概念実証の段階に達したとのことで、その影響でデックスコムの株価が急落する場面がありました。

デックスコムの投資家はこれらのリスクがあることをわきまえておく必要がありますが、高いバリュエーションは、こうした成長株には付き物の問題であり、長期的に糖尿病市場に大きなチャンスがあることを考えれば、その高いプレミアムは正当化することができると思われます。

アップルの問題については、概念実証の段階というのは、一般的に「ここには本当に有望なものがあるが、まだ先が長い」ということを示す段階であり、その技術が日の目を見て、製品として販売されるようになるまでは、少なくとも5年はかかることを示しており、すぐに業績に影響を与えることはないと考えられます。

デックスコムには、米国内外を問わず、広く大きなビジネスチャンスがあります。その製品の普及率がまだ低い今こそ、急成長中のヘルスケアビジネスに投資する魅力的なチャンスかもしれません。

*過去記事はこちら「デックスコム DXCM

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