セールスフォース(CRM)は3月1日のマーケット終了後に第4四半期決算を発表しました。予想を上回る業績と見通し、200億ドルの自社株買い計画を発表したことが評価され、株価は1日のアフターマーケットで15.79%高の193.78ドルと高騰しています。
1月31日締めの第4四半期の売上高は前年同期比14%増の83億8000万ドルで、ガイダンスの範囲である79億3200万ドル〜80億3200万ドルを大きく上回りました。非GAAPベースの利益は1株当たり1.68ドルで、これも会社予想の1.35ドル〜1.37ドルを上回りました。
非GAAPベースの営業利益率は29.2%となり、アナリストのコンセンサス予想の22.3%を大きく上回りました。現在の履行義務残は11%増で、コンセンサス予想の7%をこちらも上回っています。
セールスフォースのCFOであるエイミー・ウィーバー氏は、予想を上回る売上の伸びは、主にMuleSoftとTableau部門の好調な業績、および為替による影響が予想より少なかったことを反映していると、アナリストに説明しています。
通年の売上高は314億ドルで、18%増、為替調整後では22%増となりました。調整後の営業利益率は22.5%でした。
今後については、第1四半期の売上高がコンセンサス予想の80億5000万ドルを上回る81億6000万~81億8000万ドル、1株利益はコンセンサス予想の1.32ドルを上回る1.60~1.61ドル。GAAPベースでは、1株当たり24~25セントの利益を見込んでいます。
2024年1月期の通期売上高は、10%増の345億~347億ドルと見ており、コンセンサス予想の340億ドルを上回っています。調整後の通期利益は1株当たり7.12~7.14ドルで、コンセンサス予想の5.84ドルを大幅に上回ると見ています。また、通期の非GAAPベースの営業利益率を2023年度の水準から大幅に引き上げ、27%と見ています。GAAPベースでは、2024年度の利益を1株当たり2.59ドル〜2.61ドルと見ています。
ウィーバー氏は電話会議で、2025年度第1四半期までに非GAAPベースの営業利益率が30%に達するとの見通しを示しました。一方で、経済環境の不確実性が続いていることを理由に、2026年度までに年間売上高500億ドルという前回予想を現時点では掲げていないことを明らかにしています。
ここ数カ月、アクティビスト投資家からの注目度が高まっている同社は、自社株買いプログラムを100億ドルから200億ドルに拡大することも発表しました。同社は当四半期に23億ドルの自社株買いを行い、過去2四半期での累計が40億ドルとなり、残りは160億ドルとなっています。これは、同社の現在の時価総額の約10%にあたります。
CEOのマーク・ベニオフ氏は、アナリストとの電話会議で、取締役会が「ビジネス変革委員会」を設置し、M&Aを中心とした委員会を解散させたと述べました。これは、同社がM&Aによる成長を重視しすぎているという投資家からの批判に応えた動きと解釈されます。
IR担当執行副社長のマイク・スペンサー氏は、経済誌バロンズとのインタビューで、同社の顧客はマクロ経済環境の影響を受けたものの、第3四半期とほぼ同じレベルであったとし「当初はさらなる落ち込みを予想していたが、それはなかった」と述べています。
同氏は、旅行や接客業などの分野で需要が強かった一方で、他の分野、特にテクノロジー分野が弱かったとも述べています。
自社株買いプログラムについて、「今のところ、自社株買いが会社のキャッシュを投資する最良の機会を提供するというのが、会社の見解だ」と同氏は述べており、これも、セールスフォースが今後、M&Aにはあまり積極的にならないであろうことの表れだと解釈されています。